堀込泰三 - こころ,モチベーション,旅行,趣味 10:00 PM
突然の旅の衝動を紛らわせる方法
旅の喜びを否定する人はあまりいないでしょう。それほどに、旅は愛されています。でも、旅にはお金も時間も必要です。どうしても旅に出たいのに近い将来に実現できそうなとき、こんな方法で気を紛らわしてはいかがでしょうか。
妄想する
どんなに格安旅行でも、それなりのお金がかかります。だから、なかなか手が届かないという人も多いと思います。でも、お金が理由であまりにも簡単に旅をあきらめている人が多いのも事実。そんなときは、「もし~だったら」と妄想を膨らませてみましょう。
筆者は学生時代、学生ローンのせいでバケーションなんて考えらない状況でした。でも、刺激が欲しくて、あれこれと妄想をしたものです。もし、他の出費をすべて削って、ローンの返済が一気に進んだら?
もし、副業を得てローン返済に充てることができたなら? もし、家賃を折半できるルームメイトがいたら? 答えは人それぞれ異なるでしょう。いくら妄想しても、袋小路から抜け出せないかもしれません。
でも、私の場合、それらの"もし"を妄想しているうちに、1つの可能性が浮かびました。おかげで気持ちが少し晴れました。返済と貯金には2年ほどかかるものの、不可能ではないことがわかったのです。2年間ずっと不満をためこんで過ごすのではなく、旅を心待ちに楽しく過ごせたのは、あの妄想のおかげです。
やりたいことが見つかれば、返済計画を立てられるようになります。
あなたも、同じように考えてみてください。今年は忙しくても、来年のことを妄想しましょう。日程を決め、それに向けてフライト、宿泊の予約をいつにするかを考えているだけで、力がみなぎってきます。「疲れたので休みたい」という思考が、いつの間にか「疲れたので次の旅が待ちきれない」に変わるでしょう。たとえそれが来年の話でも、少なくともおぼろげに楽しみが見えているのですから。
待つ期間を最大限に利用する
不思議なもので、旅はあれこれと妄想しているうちがいちばん楽しいものです。学術誌『Applied Research in Quality of Life』に掲載されたある論文では、1530人の成人を対象に、旅に関する調査を実施したそうです。
調査の結果、旅に出た人とそうでない人の間では、出発前の幸福度が異なることわかりました。あれこれ想像することが、重要な役割を果たしているのかもしれません。旅は、誰しも楽しみにしているもの(Millerら、2007年)。多くの人にとって、実際に休暇が始まる数週間前、場合によっては数カ月前から楽しみが始まっているのです。
これは、お金や時間がなくてすぐに旅立てない人にとって、いいニュースです。実現するまでの間にあれこれ妄想をすることで、旅の楽しみの大半を経験できるのですから。毎月のように目標を定めて、ワクワクを高めていくことも可能です。たとえば、以下のような目標はいかがでしょう。
たとえば、ローン返済中の私は、行ってみたいところをあれこれリサーチすることに1年を費やしました。ある程度絞り込んだのち、また1年かけて、それらの目的地を徹底的にリサーチしました。そのように長年かけて調べあげた場所を実際に訪れたときの感動は、本当に素晴らしいものでした。
毎日の習慣から抜け出す
旅の楽しさはさまざまですが、突き詰めて考えるとそれは、未知への楽しみでしょう。行ったことのない場所、見たことのない景色、体験したことのない文化。マンネリを脱し、自分を再発見できるのが旅の魅力です。
とはいえ、日常生活の中でも、マンネリを脱して新しいことを体験する方法があります。習慣は生産性を高めてくれますが、そこから抜け出せなくなりがち。しばらくすると、自分が感情のないロボットのように感じられ、変化を切望するようになるでしょう。以下に、その問題への対処法を紹介します。
質の高い休息を
昼休みも働いていたり、きちんとした定期的な休息を取っていなかったりするあなた。覚えておいてください。休息は気付け薬のように、モチベーション維持につながります。特に、外に出るのがオススメです。『Psychological Science』に掲載の論文によると、自然環境で時間を過ごすと認知能力が高まるそうです。定期的な休息は、何もハワイに2週間行くというほど壮大なものでなくても構いません。適度な自然とのふれあいが、バーンアウトを遠ざけてくれるのです。
マインドフルネスを練習する
マインドフルネスは素晴らしい効果を発揮します。具体的には、モチベーションと集中力を高めてくれます。いえ、旅の代わりになるわけではありませんが、少なくともちょっとしたマインドフルネスで旅と同じ喜びが得られるでしょう。米ライフハッカーのメラニー・ピノラは、マインドフルネスを日々の生活に盛り込む方法を提案しています。
どうしてもぼんやりしてしまう日でもすぐ我に返れるよう、あらかじめきっかけや手がかりを作っておくと良いでしょう。例えば食事中であれば、フォークを置くたびに、「一噛み一噛み味わって食べる」という目標を思い出すようにしましょう。職場でなら、「1時間ごとの時報」などのリマインダーを設定して、ちょっと休憩をはさむと良いでしょう。
子どもの相手をする前にひと呼吸置けば(相手が大人でも同じことですが)、相手との関係について、もっとマインドフルでいられるでしょう。ほかの実践方法を見ても、感謝の心を持つ、物事をコントロールしようとしない、など、意外に簡単なものがあります。
瞑想も同様の効果を発揮します。いわば脳のエクササイズと言えるでしょう。
地元を旅する
自分の住んでいる町は、文化の中心とは言えないかもしれません。それでいいのです。近所で新しいものを発見するのに、何もロンドンに住んでいる必要はないのですから。地元の博物館を訪れ、公園で遊び、ディナーを食べてみましょう。私たちはつい、エキゾチックな長旅を賛美してしまいがちですが、地元にだって見るもの、知ることはたくさんあります。週末のちょっとした時間で、近隣の都市へのドライブ旅行をするのもいいでしょう。
もっとYesを言う
コンフォートゾーンを飛び出す簡単な方法の1つが、Yesを言うこと。
昨年の旅から帰ってきた私は、旅先のように日常を生きたいと思い、もっといろいろなことにYesを言うと決めました。それまでは、毎日の習慣にとらわれていて、普段やらないようなことのお誘いを受けても、「火曜日の夜に映画? ありえない」と一蹴していたものです。いつもの火曜日と同じように、帰宅してテレビやInstagramを見るのが心地よかったのです。
でも、そのようなお誘いにYesと言うことで、頻繁に日々のルーチンから抜け出すことができるようになりました。これを数カ月続けたところ、さすがに長期の海外旅行ほどではなかったものの、冒険に満ちた人生を送れるようになりました。おかげで、旅を切望する気持ちが、少しだけ和らいでいます。
環境を変えるだけでもルーチンから抜け出すことができます。私は、旅のために貯金をしていたとき、変化がほしいという理由だけで、同じ市内で引っ越しをしました。今すぐに引っ越しはできなくとも、リビングを模様替えしたり、仕事への道順を変えたりすることは誰にでもできるでしょう。些細なことかもしれませんが、ルーチンを抜け出すには小さな行動でも十分なのです。
ここで紹介した方法が旅に勝ることはありません。とはいえ、急に訪れる旅立ちたい衝動にすぐに対応できず息苦しさを感じているなら、ぜひお試しください。あなたの日常生活に、少しだけ冒険をもたらすことができたなら幸いです。
Kristin Wong(原文/訳:堀込泰三)
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