『さよなら妖精』で、歴史とミステリを同時に楽しみましょう
「王とサーカス」という小説をご存じでしょうか。
2015年の「週刊文春ミステリーベスト10」で1位。
2016年の、「このミステリーがすごい!」と、「ミステリが読みたい!」でも1位。
同年の「本格ミステリベスト10」では3位という、鬼のような成績を残しているミステリ小説です。
メディアなどの露出も多かったため、知っている人も多いであろうこの作品。
主人公の名前は太刀洗万智(たちあらいまち)と言います。
実はこの人物、過去の作品にも主要人物として登場しているのです。
その作品こそが今回ご紹介する、「さよなら妖精」。
著者、米澤穂信さんお得意の、歴史とミステリを掛け合わせる原点となった1冊です。
以下、裏表紙より一部引用
一九九一年四月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。
舞台は1991年です。
この年、中央ヨーロッパで起きた出来事が、物語の大きな軸になります。
歴史の転換点とミステリは相性が良い
主人公は冬に受験を控える男子高校生、守屋路行(もりやみちゆき)。
*この作品で太刀洗万智は主人公では無く、守屋の同級生という立ち位置です。
彼が、ユーゴスラヴィアから来たと話すマーヤに出会うところから物語が始まります。
ところで、ユーゴスラヴィアという国、今はもう有りません。
1991年、ユーゴスラヴィアでは、大事件が起こりました。
ユーゴスラヴィア紛争です。
この紛争が、物語の上で、最大の謎解きを主人公にさせることになります。
歴史上の紛争と、物語上の謎解きをリンクさせているのです。
この相性が良いんです。
物語としての面白さと、史実としての面白さを同時に味わえる。
贅沢な作風ですね。
青春小説としての側面も
米澤さんで青春小説と言えばやはり、「氷菓」などの、「古典部」シリーズでしょう。
この作品、さよなら妖精も、なかなか青春していますよ。
主人公の守屋は多少中二病の気がありますし、高校生、恋だってします。
まだそういった感情をコントロールできず、戸惑いながらも前に進もうとする。
そんな、登場人物たちの成長も見てほしいところです。
クライマックスはホロりと来ますよ。
恋を恋と、ハッキリ認識できるようになったのは、いつからだったろう。
ふと、そんなことを考えさせられました。
まとめ
「王とサーカス」を読んで、面白いと思った方。
太刀洗ファンの方。
どうぞ、読んでみてください。
女子高生時代の彼女はいったいどんな娘だったのか、覗き見することができますよ。
ガチガチのミステリが読みたい気分の方には、物足りないかもしれません。
だけど、もしあなたが歴史好きなら、きっと楽しめる作品になっています。
ぜひ、読んでみてくださいね。
最後に
最後まで読んでくださりありがとうございます。
今日のオススメ本、いかがでしたか?
こんな時に読む本をお勧めしてほしい。などあれば、コメント等でお知らせください。私、とても喜びます。
読んだ感想などお聞かせいただければ、これもまた、とてもうれしいです。
ぜひ私と、読書体験を共有しましょう。
目的別おすすめ度
泣ける本:★★★☆☆ 3
ミステリ:★★★☆☆ 3
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