アルコールで脳が萎縮!?
「アルコールの過剰摂取に起因する生活習慣病が引き金となった脳梗塞などの血管リスク、日常的に大量の飲酒をすることで起こるアルコール依存症などを除けば、脳への直接的なリスクは、適量であればそれほど高くないと考えられています。しかしお酒を頻繁に飲む人の脳を調べると、あまり飲まない人に比べ、年齢以上に萎縮している傾向が見られます」と柿木教授。
同じ年代でお酒を『飲む人』と『飲まない人』の脳をMRI(核磁気共鳴画像法)の画像で比べる と、前者の脳は後者に比べ10~20%ほど萎縮していることが多い。
ソース
なぜ脳が萎縮してしまうの?
2008年、米ウェルズリー大学などの研究チームの発表
飲酒量が多いほど脳全体の容積が縮小するとする調査結果を発表した。平均年齢60歳の
男女1839人を飲酒量に応じて5グループに分け、磁気共鳴画像装置(MRI)を使って脳容積を測定した。最も萎縮の割合が高かったのが大量飲酒者のグループだった。一方、全く飲まないグループの萎縮の割合が最も小さく、アルコールと脳の容積の間には有意な関連性が認められたとした。
国内でも千葉大学の研究者らが同じような結果を報告している。10年ほど前の研究だが、脳萎縮の特徴とされる前頭葉の「隙間」を計測したところ、日本酒換算で1日2合以上飲酒するグループの脳萎縮発現率は38.2%で、これ以下の飲酒のグループと比べて13ポイント以上も高かった。
量としては毎日2合以上のアルコールを飲んでいる場合に脳が萎縮する可能性があるとされています。お酒の付き合いが多い人やお酒でストレスの発散を日課にしている人はお酒の量に注意してください。
飲み過ぎは癌になる可能性も上がる!
アルコールをアセトアルデヒドに分解する酵素
分解したアセトアルデヒドを酢酸に変える酵素
この2つが人の体の中にあるアルコールに関する酵素です。
アセトアルデヒドを酢酸にする酵素の強弱は遺伝子レベルで決まっています。
大別すると、
「酵素の働きが強く酒に強い人」
「働きは弱いもののある程度は飲める人」
「酵素の働きが全くない人」
以上の3タイプにわけることができます。
アセトアルデヒドはDNA(デオキシリボ核酸)を傷つけ細胞をがん化させる。喉頭がんや食道がんなどになる危険性が最も高いのは、ある程度は飲めるタイプで、日本人の約4割が該当する。体質的には酒に強くないにもかかわらず、「慣れ」によって飲み過ぎてしまうため、病気を引き起こすリスクを高めてしまうようです。
男性より女性のほうが注意が必要!
肝障害は、男性と比べて女性のほうが起きやすいことがわかっています。その理由として、アルコールを摂取した際の肝臓にかかる負担が、女性のほうが大きいことが挙げられます。
同じ量のお酒を飲んでも、女性のほうが血液中のアルコール濃度は高くなる傾向にある。前述の肝臓への負担を含め、からだのつくりの違いにより、アルコールの分解に関して男女で違いがあるからです。
アルコールの分解に関係する男女のからだの違い
・肝臓の大きさ
肝臓の大きさは体格に比例するので、一般的に女性は男性より体格が小さい分だけ肝臓も小さい。そのため、男性と同じ量のアルコールを摂取した場合、肝臓が小さい女性のほうが分解できる量も少なくなり、肝臓にかかる負担も大きくなってしまう。
・筋肉の量
アルコールは肝臓に続いて筋肉などでも分解されることになる。そのため、筋肉量が多い男性のほうが分解が速く、女性のほうが血液中のアルコール濃度が高くなる。
・脂肪の量
個人差はあるが、総じて女性のほうが男性より体脂肪率は高いもの。アルコールは脂肪には取り込まれにくいので、同じ量のアルコールを摂取すると、男性より女性のほうが、血液に溶け出すアルコールは多くなる。
・体重
男性のほうが女性よりも、一般的に体重が多い。これは、男性のほうが女性より体内の血液の量が多いことを意味する。同じ量のアルコールを摂取しても、アルコールが溶け出る血液が少ない女性のほうが、血液が多い男性よりも、血液中のアルコール濃度が高くなる。
その他の男女の違い
・アルコール依存症への進行がはやい
男性の場合、20年前後の年月を経てアルコール依存症におちいる場合が多いのですが、女性の場合は5~6年、早い人で1年程度の短い飲酒期間でアルコール依存症になってしまいます。40歳代に飲み初め、40歳代に入院という例が相当あります。
・隠れ飲みが多い
わが国ではまだまだ女性の飲酒については世間の目は厳しいため、自分の“城”である台所での飲酒となりやすく、誰も気がつかないうちに問題飲酒が進行していきます。このような飲酒者を“キッチン・ドリンカー”とよび、女性アルコール依存症のうちもっとも増えているものです。
アルコールを飲んではいけない訳ではない!
アルコールは適量なら、いろいろな病気のリスクを下げる
アルコールは適量にとる分なら、体にいい影響をもたらします。ひとつは脳梗塞や心筋梗塞のリスクを下げること。血栓を作る血小板の働きが、アルコールを飲むと弱くなるからです。また、その他には血行をよくする働き、ストレスを解消する働き等があります。
お酒が持つ「リラックス効果」
お酒を飲むと気分がよくなるのは、アルコールが「理性の座」ともいわれる大脳新皮質の働きを鈍くするからです。それによって、感情や衝動、食欲、性欲などの本能的な部分を司る大脳の古い皮質(旧皮質や辺縁系)の働きが活発になり、精神が高揚し、元気も出てきます。 また、ワインやウイスキーなどの香りにはリラックス効果が、ビールの原料・ホップの香りには気分を落ち着かせるなどのアロマ効果があります。
アルコールと上手なお付き合い方
アルコール適量の効果
1、アルコールを摂取することによるリラックス効果です。軽い酔いの状態ですが、この状態になると、精神的にもリラックスします。
2、血行を良くする働きと利尿作用があるので、適度であれば身体の代謝を高め疲労回復に役立ちます
3、日本酒に換算して1日に1~2合弱程度のお酒(アルコール含有量34g以内)を飲むと、心臓血管疾患のリスクが低くなる傾向があります。
適量ってどれぐらい
適量=純アルコール 20g
アルコール分20gというと体重60~70kgの普通体質の人で、肝臓での処理に3時間程度かかる量です。
飲酒は1日平均純アルコールにして約20g程度が適量!
血中アルコール濃度 0.1%
お酒の「適量」とはこの血中アルコール濃度が0.1%までに抑えられる分量をいいます
血中濃度(%)が0.02~0.04:爽快期、0.05~0.10:ほろ酔い期、0.11~0.15:酩酊初期、0.16~0.30:酩酊極期、0.31~0.40:泥酔期、0.41~:昏睡期、というのが血中濃度と酔いの程度の目安
お酒を飲む前に摂ると良いもの
1、りんごジュース・・・りんごに含まれるペクチンが胃の粘膜を保護し、整腸作用もあります。
2、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品・・・胃の粘膜を保護し肝臓の働きを助けるタンパク質も豊富です。ただしチーズは結構高カロリーなので食べすぎに注意。
3、トマトジュースや野菜ジュース・・・適度にお腹にたまるので手っ取り早くお腹を落ち着かせ飲みすぎを防ぎます。アルコール代謝で失われるビタミンも補えます。
4、用意できればウコンなどの「お酒を飲む前に」とキャッチコピーのついているドリンクやサプリメントを摂っておくのも良いでしょう。そして飲んでいる最中には肝臓の働きを助けるタンパク質豊富なおつまみ(枝豆やお豆腐料理、白身魚、鶏ささみなど)を食べて、飲み終わったらアルコール代謝で失われた水分を補いましょう。身体に吸収されやすいイオン飲料がお勧めです。
アルコールを飲むときの注意点
体調が悪いときには飲まない
疲労が溜まっていたり体調が悪い時などは、肝臓の機能が低下し、アルコールの分解速度が下がります。また、特に生理前の女性は、女性ホルモンである「エストロゲン」の働きにより、肝臓のアルコール分解速度が著しく下がります。
2日酔いになるほど飲まない
2日酔いになると言う事は、前日のアルコールが処理できていない証拠でもあるからです
混合酒を飲まないこと
混合酒とは、ビールなど他のお酒に焼酎・ウイスキーなどの違うお酒を混ぜたお酒のことです。ビールに含まれる炭酸が胃腸でのアルコール吸収を手助けするため、急激に血中アルコール濃度が上昇。普通のお酒の何倍も、酔いが早く回ってしまいます。
お酒の適量を守る
アルコール健康医学協会は、一晩で飲む純アルコールの目安を20gと定めています。
ゆっくりとお酒を飲む
一気飲みなどで短時間でアルコールを多量に摂取してしまうとアセトアルデヒドの分解が間に合わず血中のアルコール濃度が上昇し、酩酊や急性アルコール中毒などを引き起こす可能性がある。
空腹時のアルコールは避ける
アルコールは胃と腸から体内へと吸収されます。その吸収度合いは胃と腸では大きく異なります。胃では全体の2〜3割程度のアルコールが吸収され、残りの7〜8割のアルコールは腸から吸収されます。
胃に何も食べ物が入っていない状態では、胃に入ったアルコールが腸に流れて行きやすく、結果として酔いが早く回ります。
たとえアルコール度数の低いお酒であっても、空腹時にゴクゴク飲んでしまうと、思った以上に酔いが早く回り、酔いつぶれたり 急性アルコール中毒などを引き起こしかねません。
飲み会前に小腹が空いているようならば、お腹に何かを入れておくようにしましょう。 (飲み会の1〜2時間ほど前に 牛乳・チーズ・ヨーグルトなどを摂っておくと、胃壁に膜を張って保護してくれるため、酔いにくくなると言われています。)
飲酒の合い間に水を飲む
アルコールによる胃への刺激を和らげ、また、酔いが回る速度を緩やかにし 深酔いしにくくなるという効果があります。
飲酒後に熱い風呂は避ける
熱い風呂は心臓に負担が大きいため
ぬるい風呂や熱いシャワーにする。
休飲日を作る
週に2回は、まったく飲まない日を作りましょう