UK elections: Sadiq Khan's confirmation as London mayor delayed - live updates | Politics | The Guardian via kwout
ロンドン市長選について、少しまとめておこう。
英国の首都ロンドンに、現在の「市議会 assembly」と「市長 mayor」が導入されたのは、2000年のことである。この2つをまとめてThe Greater London Authority (GLA) という。議会は市長を監視する役目を負うという点で、制度導入時は「アメリカ型」と説明されていた(米大統領と議会の関係)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Greater_London_Authority
この制度が導入される前は、それはそれでいろいろあったのだが、書いてると先に進めないので、関心のある方は下記など参照。
https://en.wikipedia.org/wiki/Greater_London_Council
2000年に実施された初回のロンドン市長選挙では、GLC時代に勇名を馳せたケン・リヴィングストンが、当時のブレアの労働党からは離れて無所属として立候補し、57%以上を得票して当選した。4年の任期を終えたリヴィグストンは、2004年にも再度当選したが、その次の2008年の選挙では保守党のスター、ボリス・ジョンソンが53%を得票、リヴィングストンは落選した。2012年にも再度当選したジョンソンは2015年総選挙で国会に復帰し、2016年のロンドン市長選には出馬しない。
https://en.wikipedia.org/wiki/Mayor_of_London
ロンドン市長から退くジョンソンに代わって保守党から出るのが、ザック・ゴールドスミス。ロンドン西部の富裕層の多いリッチモンドを地元とする、大金持ちの実業家の息子である。1975年生まれ。イートン校で学んだが薬物関連で放校処分となり、大学には行っていない。最近の富裕層には珍しくないが、「環境保護に関心が高い」人で、選挙戦でもそれをアピールしている。現在は英国会の下院議員。
https://en.wikipedia.org/wiki/Zac_Goldsmith
ザックの姉のジェマイマは、かつてパキスタンのクリケット代表選手、イムラン・カーン(現在は政治家)と結婚していて、「ジェマイマ・カーン」という名前で人権活動などを行なっている。彼女は2010年にウィキリークスのジュリアン・アサンジの保釈金を用意したサポーターのひとりだが、その後、ウィキリークスとは切れている。
一方、労働党は、南ロンドンの「移民街」(Asianの多い町)であるトゥーティング出身のサディク・カーンをロンドン市長候補に選んだ。1970年に、パキスタンからの移民の家の子としてロンドンに生まれ、法律を学び、弁護士として活動してきた。彼も英国会の下院議員をつとめているが、ロンドン市長に当選したら下院の議席は返上するとしている(兼職も違法ではない。2015年に下院議員に復帰したボリス・ジョンソンは、現在、兼職している)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Sadiq_Khan
今年のロンドン市長選挙について、読んだ文章のなかで最も明確だったのが、70年代にウガンダのイディ・アミンの圧制を逃れて英国に渡ったYasmin Alibhai-Brownさんの文章。
http://www.theguardian.com/commentisfree/2016/may/03/sadiq-khan-mayor-london-terrorists-worst-nightmare
英国の政界には、「移民(の子供)」や「キリスト教以外の宗教を信仰する人」は珍しくない(イングランド国教会というものがある英国について「キリスト教」でまとめて語るのも雑な話だが)。しかし、アジア系(英国でAsianといえば南アジア系である)の政治家たちは、「移民は差別されており、貧しく……」というナラティヴでは無視される。「イスラム過激派」と呼ばれる人々は、そのナラティヴを使って、実際に大変な思いをしている(と本人が思っている)人たちに接近する。「差別され、無視され、貧しく、苦しい立場の我々」にとっての「正義」の実現、という《物語》を、彼らは語る。
その手法を封じるために最も効果的なのは、イスラム教徒が「誰もが知っているような政治家」になることだ。「産業大臣」とか「下院なんとか委員会委員長」とかは「政治オタク」しか知らないかもしれないが、「ロンドン市長」なら誰もが知ってる存在だ。
イスラム教徒がロンドン市長になるということには、そういう意味(効果)もある。
だが、サディク・カーンを当選させたロンドンの有権者は、彼が「ムスリムだから選んだ」わけではなく、「選びたい人を、ムスリムだからという理由で、選ばないということをしなかった」のだと思う。
しかし、この結果を、「ロンドンがイスラム教徒に乗っ取られた」と騒ぎたい人たちはいるし、その人たちがそう騒げば耳を傾ける人たちもいる。
https://t.co/uRXUw1NHNT <- Read this. pic.twitter.com/bWyy2h8UfL
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) May 6, 2016
Stay classy Drudge #LondonElects pic.twitter.com/n8PIUbne9k
— Raziye Akkoc (@RazAkkoc) May 6, 2016
Drudge Report homepage on Sadiq Kahn victory really quite shocking... pic.twitter.com/fiCjOxLvxi
— Ian Katz (@iankatz1000) May 6, 2016
「どう計算しても、結果はサディク・カーンの当選だ」ということになってから、正式な結果のアナウンスがあるまで異様に時間がかかっていて、ある時点で「深夜0時にアナウンスを行なう」ということが告げられるまでの間、Twitterでは何度も「もうすぐアナウンスがある」という情報が流れ、それをモニターのこちらで今か今かと待っていた私は、選挙管理委員会による正式な結果布告ではなく、イスラモフォビアのユーラビア脅威論者が騒いでいるのや、それに対する「ねーねー、どんな気持ち? どんな気持ち?」的な発言を眺めているハメになった。
消耗した。うんざりした。北アイルランドの自治議会選挙の開票も大変に時間がかかっていて、マーティン・マクギネス(選挙区をミッド・アルスターからフォイルに変えた)の当選が一向に告知されないという
北アイルランド議会選挙の開票&ロンドン市長選挙結果を待ちながら、新書『サッカーと人種差別』を読む。まさにニコラ・サルコジの「言葉や誤った歴史認識を、嗤うことができる間はまだよかった。問題は、サルコジの言葉を…一定の説得力を持って受け取る層が明らかに存在することだ」(p.185)
— nofrills/新着更新通知・RTのみ (@nofrills) May 6, 2016
| サッカーと人種差別 (文春新書) 陣野 俊史 文藝春秋 2014-07-18 by G-Tools |
そんなこんなで異様に時間がかかっていたのだが、日本時間で7日の8時20分過ぎ(現地で0時20分過ぎ)にようやくのことで結果が告知された。
So the camera people are literally lying on the floor because nothing is happening... #LondonElects #waiting pic.twitter.com/xtFTMkV7b3
— London24 (@london24) May 6, 2016
Here they come #LondonElects
— esther addley (@estheraddley) May 6, 2016
The mayoral candidates are filing out and onto the stage #LondonElects
— William James (@WJames_Reuters) May 6, 2016
It's Official! Labour’s @SadiqKhan confirmed as the new Mayor Of London https://t.co/uI3KRJrffz pic.twitter.com/955HtUa72k
— LBC (@LBC) May 6, 2016
Sadiq Khan: 'Thank you to every single Londoner for making the impossible possible' https://t.co/4zu41YcSJD pic.twitter.com/qZ30cC6ne6
— LBC (@LBC) May 6, 2016
Labour candidate Sadiq Khan elected new mayor of London after beating closest rival, Conservative Zac Goldsmith https://t.co/6StIZ4yhjs
— BBC Breaking News (@BBCBreaking) May 6, 2016
Labour's @SadiqKhan is new Mayor of Londonhttps://t.co/xfZJdXU5dy pic.twitter.com/l3DtdC2gxf
— BBC Breaking News (@BBCBreaking) May 6, 2016
写真を見ると、サディク・カーンは小柄な人である。ザック・ゴールドスミスと並ぶと、身長185センチ(ザック)と165センチ(サディク)というくらいに見える。
その小柄な人が、これから4年、ロンドン市のトップとして、あの複雑な大都市を引っ張っていく。
.@SadiqKhan: "I'm so proud that Londoners have today chosen hope over fear and unity over division." #LondonElects https://t.co/5RB3JnLatR
— BBC Breaking News (@BBCBreaking) May 6, 2016
Here's the full breakdown of #LondonElects results https://t.co/1vMKyDhWPm pic.twitter.com/GBqDJhWY6e
— Evening Standard (@standardnews) May 6, 2016
Sadiq Khan's tally gives him largest personal mandate of any politician in UK history #LondonElects https://t.co/7AFef5hEGk
— Press Association (@PA) May 6, 2016
Blimey @SadiqKhan beat Goldsmith by 316,000 votes. That's the population of Cardiff #LondonElects
— Thom Brisco (@thombrisco) May 6, 2016
※このあとに結果が出るまでのツイートを貼り付けるつもりだが、今は気力が尽きた。
※この記事は
2016年05月07日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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