イギリスで有名な作曲家といえば、19世紀ではエドワード・エルガーがとても有名です。名前は知らなくても曲は聞いたことがあると思います。代表作品は『威風堂々』で聴くととても元気が出ますね。
エルガー以前の作曲は?と思うところですが、ヴィバルディやバッハのバロック音楽後半頃からハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンが活躍したいわゆるクラシック音楽が盛んだった時代において、
約200年近くイギリスで有名なクラシックの曲は全くと言っていいほど生まれていません。なぜでしょうか?
・他のヨーロッパの有名な作曲家の陰に隠れたのでしょうか?
・イギリスの音楽レベルが低かったのでしょうか?
・イギリスに作曲家が偶然生まれなかったのでしょうか?
その理由はこのように考えられています。
原因はクロムウェルらしい
イギリスでは17世紀中旬にオリバー・クロムウェルの清教徒(ピューリタン)を中心とする議会派が革命を起きました(ピューリタン革命)。クロムウェルは後に議会を解散し独裁政治を初め、競馬、賭博、売春、演劇、音楽も人間を堕落するものとし禁止しました。
教区教会のオルガンは破壊され、礼拝堂合唱団は解散させられてしまいました。多くのイギリスの作曲家たちは国外へ逃亡し、この時期のイギリス音楽は、急激な低迷期を迎えることになります。これがバロック中期以降にイギリスでクラシックの作曲家が生まれなかった原因の一つではないかと言われています。
ピューリタン革命以前の優れたイギリスの音楽
ピューリタン革命が起きる以前のイギリスの優れたバロック音楽を簡単に紹介いたします。中世の時代にタイムスリップした気持ちになりますね。
●ジョン・ダウランド(1563〜1626)
エリザベス1世からチャールズ1世にかけてのイギリスを代表するリュート奏者で、
庶民的な恋や友愛の曲を奏で続けました。
John DOWLAND - Galliards - Paul O'DETTE.avi - YouTube
●トマス・タリス (1505頃〜1585)
ヘンリー7世の統治からエリザベス1世までの宗教改革の時代に生きた作曲家・オルガン奏者で、悪名高いヘンリー8世に仕え、宮廷作曲家として活躍していました。
音が何重にも重なりとても壮厳な音楽に耳を奪われます。
ヘンリー8世を描いたイギリスのドラマ「テューダーズ」にタリスは有能な音楽家として、また男爵と関係を持ってしまうホモセクシュアルとして描かれています。本当はどうだったのでしょうか。
チューダーズ <ヘンリー8世 背徳の王冠> DVD-BOX1
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2011/09/02
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
●ヘンリー・パーセル(1659〜1695)
イギリスの上品さと典雅さを一身に集めた輝かしい作風が持ち味です。
CMでおなじみのトランペット・チューンも皆さんにはなじみが深いと思います。
●おまけ
6人の妻を娶り2人を処刑したとしてイギリス国王の中で悪名高いヘンリー8世。
しかし教養深く老練な王とも言われ、作曲家としての一面もあります。
Deep purpleやRainbowなどで活躍したイギリスの伝説のギターリスト、リッチー・ブラックモアがカバーしたバージョンです。
最後に
ピューリタン革命が終わり、1660年後の王政復古以降に音楽禁止は解け作曲家や合唱団の再編成をしました。しかし、イギリスではピューリタン革命以降の約2世紀にわたって是と言った音楽家が生まれていません。
その中断により音楽界、音楽教育にも大きな影響を与えたと考えられ、継続的な活動を中止してしまうと大きな遅れが生じ、取り戻すのに長い期間を要してしまったようです。筆者もビジネスで同じような経験があると言っており、一概には言えないところもありますが継続することは大切だなあと感じた内容でした。
最後まで読んでくださり有難うございました。
ジェイムズ先輩
今回はお休みでした。
ワタル課長
部下アサオ