地域雇用に悪影響 水島製作所1300人待機
三菱自動車の燃費データ不正問題が、地域雇用にも影響を与え始めた。軽の生産を担ってきた水島製作所(岡山県倉敷市)では同製作所の従業員約1300人が自宅待機を迫られ、連鎖的に操業停止に追い込まれる下請け企業も出始めた。自動車は裾野の広い産業だけに、生産停止が長引いたり、他の車種でも減産などが余儀なくされたりすると、雇用問題が全国規模に波及する可能性も出てきた。【宮島寛、竹地広憲】
「とりあえず三菱自の軽向け部品生産の担当者たちに他の仕事を割り振ったが、いつ生産が再開されるか分からない。再開されても元の仕事量に戻るとも思えず情報収集を急いでいる」。三菱自と取引がある大手部品会社幹部は28日、毎日新聞の取材にそう述べた。
三菱自は「eKワゴン」や日産自動車に供給している「デイズ」など軽自動車4車種での燃費データ不正を公表した20日、これら車種の生産・販売を停止。水島製作所の生産量は問題発覚前の4割へと減少し、同製作所の従業員約3600人のうち約1300人は期限未定の自宅待機になった。
あおりを受けたのが部品会社だ。岡山県が28日公表した県内の三菱自下請け企業調査によると、既に15社が工場の一部や全体の操業を停止。従業員を自宅待機にさせている企業も9社確認された。
2万〜3万点の部品で構成される自動車生産には多くの企業が関わっており、民間の信用調査会社「東京商工リサーチ」によると、三菱自の国内1次下請けだけでも1356社に上り、総従業員数は41万人を超えるという。特に三菱自の場合、取引先に小規模企業が多く「生産停止が数カ月に及べば資金繰り難に陥る企業も出てくる」(大手行)との懸念は根強い。
さらに懸念されるのは、三菱自のもう一つの国内主力完成車工場、名古屋製作所(愛知県岡崎市)などのほかの生産拠点にも生産停止や減産が波及することだ。三菱自は軽以外の幅広い車種でも国内法規と異なった方法で燃費データを計測していたことが判明。軽以外の販売にも影響が出始めているためだ。名古屋製作所と取引のある愛知県の部品会社、フタバ産業の吉貴寛良副社長は27日、記者団に対し、「岡崎にまで波及すると当社も影響を受ける」との不安を述べた。