踏切事故で異例の対応 はねられ死亡の会社員を書類送検
去年、東京・板橋区の東武東上線の踏切で、遮断機をくぐって立ち入った当時28歳の会社員が電車にはねられて死亡し、警視庁が電車に脱線などの危険を生じさせた疑いで、会社員を書類送検していたことが分かりました。踏切内の事故で歩行者が書類送検されるのは異例です。
去年12月、東京・板橋区徳丸の東武東上線の踏切で、近くに住む当時28歳の会社員が下りていた遮断機をくぐって線路に立ち入り、急行電車にはねられて死亡しました。
警視庁の調べによりますと、当時、会社員は酒に酔っていて、運転士が急ブレーキをかけましたが間に合わなかったということです。
警視庁は、捜査の結果、現場は緩やかなカーブになっていて、会社員が立ち入ったことで急ブレーキによる脱線や、乗客の転倒につながるおそれがあったと判断し、先月1日、電車の運行に危険を生じさせたとして、過失往来危険の疑いで会社員を容疑者死亡で書類送検していたことが、警視庁への取材で分かりました。
警視庁によりますと、踏切内の事故で電車の運行に危険を生じさせたとして書類送検されたケースは、平成23年以降、ほかに5件ありますが、いずれも車やバイクが電車と接触していて、徒歩で立ち入った人の書類送検は過去に例がないということです。
警視庁は、今後も、踏切事故については捜査結果を踏まえて個別に判断するとしていますが、無理な横断は絶対にしないよう呼びかけています。
警視庁の調べによりますと、当時、会社員は酒に酔っていて、運転士が急ブレーキをかけましたが間に合わなかったということです。
警視庁は、捜査の結果、現場は緩やかなカーブになっていて、会社員が立ち入ったことで急ブレーキによる脱線や、乗客の転倒につながるおそれがあったと判断し、先月1日、電車の運行に危険を生じさせたとして、過失往来危険の疑いで会社員を容疑者死亡で書類送検していたことが、警視庁への取材で分かりました。
警視庁によりますと、踏切内の事故で電車の運行に危険を生じさせたとして書類送検されたケースは、平成23年以降、ほかに5件ありますが、いずれも車やバイクが電車と接触していて、徒歩で立ち入った人の書類送検は過去に例がないということです。
警視庁は、今後も、踏切事故については捜査結果を踏まえて個別に判断するとしていますが、無理な横断は絶対にしないよう呼びかけています。
遺族団体代表「送検は疑問」
鉄道事故の遺族などで作る団体の代表、加山圭子さんは、今回の書類送検について、疑問に感じると話しています。
加山さんは11年前、駅の係員のミスによる踏切事故で母親を亡くしていて、「踏切で亡くなったというだけで悲惨なことなのに、さらに書類送検が重なると、家族としては非常につらいと思います。本当に脱線の危険性があったのか、過失往来危険という罪に問うべきなのか、疑問に感じます」と話していました。
そのうえで、「無理な横断をした人に責任がないと言うつもりはないが、その人だけを責めて根本的な踏切の安全対策が問われないままになってしまうのではないかと心配している」と話していました。
加山さんは11年前、駅の係員のミスによる踏切事故で母親を亡くしていて、「踏切で亡くなったというだけで悲惨なことなのに、さらに書類送検が重なると、家族としては非常につらいと思います。本当に脱線の危険性があったのか、過失往来危険という罪に問うべきなのか、疑問に感じます」と話していました。
そのうえで、「無理な横断をした人に責任がないと言うつもりはないが、その人だけを責めて根本的な踏切の安全対策が問われないままになってしまうのではないかと心配している」と話していました。
専門家 罰せられる可能性知らせる機会に
今回の警視庁の書類送検について、鉄道の安全に詳しい関西大学社会安全学部の安部誠治教授は「過失往来危険罪は、踏切内に放置された車や自転車と列車が接触したケースでの適用はあったが、歩行者の事故では聞いたことがない。歩行者がはねられて脱線することはまずないが、危険な横断は罰せられる可能性があることを知ってもらうという観点で意味がある」と指摘しました。
そのうえで踏切事故を防ぐためには、「道路と線路を立体交差にして踏切をなくすなどのハード面の改善が大前提だが、鉄道会社の対応にも限界があるので、遮断機が下りてから踏切に入るのは、非常に危険だと認識することが必要だ」と話していました。
そのうえで踏切事故を防ぐためには、「道路と線路を立体交差にして踏切をなくすなどのハード面の改善が大前提だが、鉄道会社の対応にも限界があるので、遮断機が下りてから踏切に入るのは、非常に危険だと認識することが必要だ」と話していました。
踏切事故 無理な横断が半数
国土交通省によりますと、平成26年度に全国で発生した踏切事故は248件で、合わせて92人が死亡しています。線路の高架化で踏切そのものが減っていることなどから、10年前の平成16年度と比べると事故の数は4割ほど減少しています。
しかし、原因別でみると、電車が通過する直前に無理な横断をしようとした「直前横断」が事故全体の半数を占めていて、ここ数年間は同じ傾向が続いています。
専門家は、踏切事故をさらに減らしていくためには、通行する人が無理な横断をせず「直前横断」を減らすことが必要だと指摘しています。
しかし、原因別でみると、電車が通過する直前に無理な横断をしようとした「直前横断」が事故全体の半数を占めていて、ここ数年間は同じ傾向が続いています。
専門家は、踏切事故をさらに減らしていくためには、通行する人が無理な横断をせず「直前横断」を減らすことが必要だと指摘しています。
車の無理な横断で脱線事故も
無理に踏切に入った車が列車と衝突し、脱線する事故は以前から起きています。
10年前の平成18年、東京・杉並区の京王線の踏切で、遮断機が下り始めた踏切に入った乗用車が電車と衝突し、先頭車両の一部が脱線しました。おととし3月には、福岡県大刀洗町の甘木鉄道で、遮断機が下りた踏切にトラックが突っ込み、衝突した列車が脱線して複数の乗客がけがをしました。
いずれも警察が、車の運転手を過失往来危険の疑いで書類送検しています。
10年前の平成18年、東京・杉並区の京王線の踏切で、遮断機が下り始めた踏切に入った乗用車が電車と衝突し、先頭車両の一部が脱線しました。おととし3月には、福岡県大刀洗町の甘木鉄道で、遮断機が下りた踏切にトラックが突っ込み、衝突した列車が脱線して複数の乗客がけがをしました。
いずれも警察が、車の運転手を過失往来危険の疑いで書類送検しています。