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租税回避地で会社設立10万円 「秘密守られる」

世界的な課税逃れの実態が内部文書で暴露された法律事務所「モサック・フォンセカ」=中米パナマの首都パナマ市で

 「あなたの個人情報は、我々のコンフィデンシャル(秘密)ファイルに収められ、捜査が行われない限り、法により守られます」。中米パナマの首都パナマ市。気温は30度を超え、歩くと汗が噴き出す。世界を揺るがす「パナマ文書」の源である法律事務所「モサック・フォンセカ」から徒歩10分。別の法律事務所で向かい合った弁護士の言葉で汗が引いた。

 パナマ文書は、モサック社の長年にわたる取引情報を記録した内部文書だ。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手して、富裕層らが「租税回避地(タックスヘイブン)」を駆使して行う課税逃れを暴いた。文書には、キャメロン英首相の亡父、プーチン露大統領周辺、中国の習近平国家主席の親族らの名前が並ぶ。モサック社は実体のないペーパーカンパニーの設立など、課税逃れの複雑な仕組み作りに関与していた疑いを持たれている。

 その一端を知るため面会した弁護士は悪用可能な法人の設立の簡単さを繰り返し説明した。設立まで1週間足らず。費用は最低で10万円ほど。社長、秘書役、財務担当者の3人は「信用のおける人物」を事務所が手配する。表に出るのは彼らの名前だ。捜査当局に違法行為の疑いを持たれなければ自分の情報がパナマ当局に渡ることはなく母国の税務当局にも把握されない。

 弁護士は言う。「顧客の皆さんには何が合法で何が非合法か、慎重に判断いただきたい」。そして付け加えた。「モサック・フォンセカのように誰彼構わず、顧客にするような事務所がたくさんあります。しかし、我々のように注意深く行動する事務所もあるのです」【パナマ市で清水憲司】

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