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景気の停滞鮮明…雇用改善、消費に波及せず

 28日公表された3月の経済指標は、景気の停滞ぶりを改めて浮き彫りにした。雇用情勢の改善が消費に波及せず、消費者物価は2年11カ月ぶりの下落幅を記録し、家計の消費支出も2カ月ぶりにマイナスに転じた。熊本地震による影響も懸念される。【小倉祥徳】

     全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0.3%下落した。下落幅は、日銀が大規模金融緩和を導入した13年4月以来の大きさだ。要因は引き続き、原油安によるエネルギー価格の下落で、電気代やガソリン代などエネルギー価格が13.3%下がった。

     これに加え、円安時の輸入価格上昇により値上がりが続いていた食品も、円高の影響で上昇の勢いが弱まってきた。物価変動の大きい生鮮食品を除いた食品は2.0%上昇したが、伸び率は2月から0.1ポイント縮小。食品は1月に下落に転じた後、2月は横ばいだった。先行指標となる4月の東京都区部では0.5ポイントも縮小している。市場では「円安効果がはげ落ちたことに加え、景気低迷も影響している。物価は当面、マイナスが続く可能性が高い」(新家義貴・第一生命経済研究所主席エコノミスト)との見方が広がっている。

     物価が低迷するのは、原油安や円高だけでなく、消費そのものが伸び悩んでいるためだ。家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は30万889円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比5.3%減少した。2月はうるう年の影響で増加したが、その影響を除けば7カ月連続のマイナスだ。

     一方で、雇用情勢は堅調だ。有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.30倍で、1991年12月以来の高水準となった。それでも消費底上げに直結しない。石原伸晃経済再生担当相は28日の記者会見で「個人消費は力強さに欠けている」と首をかしげる。

     景気の先行きには、熊本地震の影響も立ちはだかる。鉱工業生産指数(速報値)は前月比3.6%上昇し、2カ月ぶりにプラスに転じたが、トヨタ自動車の減産などで自動車生産が落ち込んだ前月の反動もあるとみられる。熊本地震による部品供給網(サプライチェーン)混乱の影響がどこまで広がるかの見極めはまだつかず、経済産業省は「生産は一進一退で推移している」との判断を据え置いた。

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