異色のMakerインタビュー
ビンタ目覚ましに指まで切りそうな野菜切断機まで、話題のおバカロボクイーンSimone Giertzを直撃
本人の意志と関係なく口紅を塗りたくるロボット。頭をはたいて文字通り人を叩き起こす「目覚まし機」。Simone Giertzが作るユニークすぎる機械の数々が、本人のビジュアルとも相まって話題となっている。14万人がチャンネル登録するスウェーデンの人気YouTuberにして、新進気鋭のMakerは果たしてどんな人物か? どんな発想からこのおバカな“ロボット”たちが生まれたのか?
彼女がロボットを作ったわけ
Simone Giertzは、ファンからは“Queen of Shitty Robots”(おバカロボの女王)と呼ばれている。まずは、次の映像を見て欲しい。その理由がわかるはずだ。
映像を見れば誰もがこんな疑問を抱くはず。「なんでこんなものを作ったのか?」
まずは聞いてみた。
——どのロボットも役に立ちそうで、結果うまくいっていないように見えるのですが……どうして作ったんですか?
「作れたら便利かもしれないし、あったらおもしろいじゃない。退屈な時とか、やる気が出なくてぐずぐずしている時に、なんとなくひらめいちゃったの。あ、こんなのがあるといいって。でも、作っていくうちに楽しくなっちゃって、いろいろやっているうちに、なんか違うものになっちゃったかも。目標を失った創造性が発揮されちゃった、ってとこね」
電子工作おじさんに囲まれて学んだテクノロジー
本人がロボットと呼ぶ一連の装置は、何をしたいのかよくわからないものばかり。確かに目標を失った創造性にはあふれている。彼女のMakerとしてのキャリアについて聞いてみた。
——ものづくりには昔から興味があったんですか?
「子供の頃からものを分解したり、組み立てたりということにすごく興味があったの。いろいろな噂を科学実験で検証するMythBustersや、身近にあるいろいろなものがどうやってできたかを紹介するHow Its Madeといったテレビ番組を見てたわ。『どうやってものができているか』をよく知っている人たちが出演しているんだけど、かっこよくて憧れだったの。でもその時は、自分もやれるとは思っていなかった。
自分にもできるんじゃないかと思ったのは、スウェーデン人のハードウェアのハッカー、エレン・サンドの作品を見た時。
彼女の作品は、日常に役立つものをマイクロコントローラなどのテクノロジーを使って、メディアアートとして表現していたの。マイクロコントローラを使えば、いろいろなことができるんだと初めて知ったわ」
——実際に作り始めたのはいつ頃ですか?
「プロトタイプにはずっと興味があったし、作りたいもののアイデアはどんどん湧いていたんだけど、電子工作のことを勉強し始めたのは2年前からね。
物理は学校で勉強していたけど、ただ数字をこねくり回していただけで、何かを学んだということはなかったわ。
Punch Throughというハードウェアの会社に就職して、電子工作の達人みたいなおじさんたちに囲まれて、そこでテクノロジーを学んだの。それが基礎になっているわ」