広がり見せる次世代車の開発競争
自動運転の世界的な覇権争いは、世界の大手自動車メーカーだけでなく、GoogleやAppleといったIT系ジャイアントも参入、すでに世界中で国を挙げての政策競争と化しており、日々激しさを増している。日本では、安倍首相が2020年の東京五輪までに自動運転車の実用化に乗り出した。株式市場では、自動運転関連銘柄は Fintech などと並んで有力な市場のテーマだ。
自動運転のキーデバイスとしては、カメラ、センサー、ブレーキ、レーダー、画像処理半導体、電子ミラーといったハードの他に、AIソフト、完全自動運転のための3Dダイナミックマップなどのナビシステムといったソフトがあげられる。
自動運転の入り口となる自動ブレーキの技術は、先進運転支援システム(ADAS)としてかなり進んできている。すでに搭載している自動車も多く体験済みの人も多いだろう。そのADASの目として、車間や車線を読み取るのがカメラとセンサーだ。カメラとセンサーで監視した情報をもとに自動ブレーキシステムや車線逸脱警報システムが作動する。このカメラとセンサーの性能向上とコストダウンがADASの普及を後押しする。
単眼カメラとセンサーの中軸のシステム以外でも、ステレオカメラ、ミリ波/準ミリ波レーダー、超音波センサー、レーザーレーダーなど自動運転車には膨大なセンサー需要が生まれる。
ソニー <6758> は、携帯電話などで培ったCMOSセンサーの感度を10倍に高めて自動運転車用カメラへ参入している。自動車運転車を開発するベンチャー企業のZMPと共同開発で暗闇でも人間や車線を判別できる高性能車載カメラを発売済み。ZMPは今年にもIPOが期待されるロボットと自動運転のベンチャー企業でソニーも出資している。
ケンウッド <6632> は、デンソー <6902> のレーザーセンサーと組み合わせた自動運転監視カメラのシステムを開発している。監視カメラシステムはカメラの映像を伝送し、中央監視室で一元管理するシステムだ。同社もZMPの株主であり、ZMPとの合弁会社も展開している。
パナソニック <6752> も自動運転やADASに必要なカメラやセンサー類の部品を自動車大手などに供給している。自動運転のカメラとセンサーのシステムではまだ後発だが、車載用カメラや自動車バッテリーなどでは多くの実績がある。同社は自動車関連をコアビジネスのひとつと位置づけており先行グループにキャッチアップを目指している。
クラリオン <6796> は、自動車の四隅にカメラを設置し上空から俯瞰するアラウンドビューモニターに実績があり、自動駐車システムの実用化に注力している。また、Google と自動運転における音声認識および検索技術の活用に関する契約を締結、Google の技術を使い自動運転向けの最先端のクラウドサービスを提供していく。
三井化学 <4183> は、自動運転用カメラのレンズに商機を求めている。カメラの性能向上のためには、レンズの性能向上が不可欠だ。現行のADASに採用されているレンズの素材はガラスが中心だが、コスト面から樹脂化は必須だ。同社はスマホのカメラレンズ用樹脂で培った技術で自動運転車のカメラ用レンズの素材にも参入した。
画像センサーは光を電気信号に変換して画像として認識する部品。スマートフォンやデジタルカメラに使われており、ソニーが世界のシェア4割を握るトップカンパニーだ。パナソニックも自動運転用の次世代画像センサーを開発し、ソニーを追う。
センサーはカメラと一体でシステム化している場合が多いので主力関連銘柄は重複しているが、それ以外でもユニークな銘柄がある。
北陸電気工業 <6989> は、小型3軸加速度センサーの量産化を世界で初めて実現した。3軸加速度センサーとは、縦横垂直3方向の加速度を1つのデバイスで測定できる装置で、自動車の横滑り防止システムなどに使われる。
日本セラミック <6929> は、赤外線センサーで圧倒的シェアをもっている。障害物の存在判別や距離測定を行う車載用超音波センサーを手掛けており、自動運転分野でも需要は拡大するだろう。
TDK <6762> はステアリングの制御用センサーをすでに量産している。自動運転車の部品を高成長分野としており、自動運転を支えるセンサーとして磁性技術を生かした角度センサーやポジションセンサーなどを開発済みだ。
村田製作所 <6981> は超音波センサーの大手だ。3次元自車位置推定センサーを現在開発中。将来的に自動運転車での自車位置推定などへ応用する狙い。
パイオニア <6773> は走行空間センサーの開発を進めているほか、ドイツ企業と「高度化地図」の活用に関して協業していく。
平田和生
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。
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