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オバサンになりたい。

オカマがひり出す叫び声

性格ブスコミュニティのリアル『A子さんの恋人』【漫画・感想】

マンガ

こんにちは、錠前(@jomae_yasushi)です。

前から書店で見かけるたびに気になっていた『A子さんの恋人』、ついに読みました。おいおい良作じゃないかなんでもっと早く読まなかったんだよ!と自分にグーパンチをかましたくなるくらいばっちり面白いシティ派ラブロマンスだったので、感想共有です〜

※この記事はネタバレを含みます
 

【ストーリー】
29歳――半人前の大人たちが繰り広げる、問題だらけの恋愛模様。

29歳のえいこさん。誰といっしょになるとか、どこで暮らしていくとか――そろそろ決めなきゃいけない問題も増えてきた。とはいえ、答えなんてすぐに出せない(出したくない!)わけでして……。
ああでもない、こうでもない、と思い悩むえいこさんの厄介な日々を綴った『A子さんの恋人』、待望の刊行スタート!〔Amazon「商品の説明」より〕

 

頭がよくて性格の悪い人たちの掛け合いがサイコー

何が面白かったって、頭の良し悪しはあるにせよ主要キャラの性格がのきなみ悪くて、性格ブスコミュニティの日常コミュニケーションがリアルに再現されているところです。

誰かが恥ずかしいことをしでかしたときには「○○事件」だとかすぐに命名して勝手に語り継いだり、新しい恋が始まりそうな気配を察知したときにはチャチャを入れにいったり、「やるよね~」のオンパレードで楽しいのと同時に、はたから見るとこんな風に映るのね、と少しそら寒くなったりもしました。

なかでも特に光っていたのがA太郎とゆうこの掛け合いで、曲者な二人の人物造形は大体こんな感じ。

A太郎:他人の懐に入り込むのが病的にうまく、常に周囲を虜にするコミュニケーションモンスター(ほとんどサイコパス)。主人公・A子を再び手中に納めようと画策する
ゆうこ:頭のよさと性格の悪さがチャームポイント。好きになるのはイノセントさがきらきら眩しい能天気男ばかりで、その輝きにあてられるとA太郎の薄汚さで中和しようとする

 

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〔近藤聡乃『A子さんの恋人』より〕

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〔近藤聡乃『A子さんの恋人』より〕

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〔近藤聡乃『A子さんの恋人』より〕

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〔近藤聡乃『A子さんの恋人』より〕

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〔近藤聡乃『A子さんの恋人』より〕

 

いい人ぶってみたりもするのですが、私やっぱりベースの性格があまりよくないので、こういうの、最高に楽しいんですよね…。的確な悪口の応酬だったり、気の置けないオカマ友達と刺し合うような会話をしているときの、多幸感とともに浮上していく感覚、、

最高に楽しいあの瞬間あの時間を、ばっちり紙面に落とし込んでくれた近藤先生にはもう感謝しかありません。現実世界では「今最高にエキサイティングな掛け合いができた…!」と思ったとしてもその興奮も束の間、同じ瞬間はもう二度とはやってこなくて、その刹那性みたいなものもそれはそれで良いのですが、でもやっぱり最高の瞬間が一回こっきりで終わってしまうのは非常にもったいない!という、モッタイナイお化けよろしく自分でもよく分からない感覚があってもしかしたらそういう高揚感みたいなものを記録媒体に残したいからこそ、人は何かを創るのかもしれませんね。(漫画など静的なコンテンツはもちろん、コントや漫才というかたちで再現可能な状態にしてみたり)

まあしかし、そういう感動の落とし込み作業みたいなことをこのクオリティで平然とやってのける近藤聡乃さん、相当の手練れだと思います。今後も要マークですね。

 

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あーん、楽しい!

この一言につきる一作でした。性格が良すぎない人には全力でおすすめしたいですし、菩薩みたいな心の持ち主でもそれはそれで、こんなにも邪悪な人たちが世には跋扈しているのね…と、地獄の釜ツーリングくらいの観光気分で楽しめちゃうのかもしれません。

 

それでは今日はこのへんで。

さよ~

 

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