関西電力と東京ガスが戦略提携
関西電力と東京ガスは11日、火力発電所の燃料調達や発電所の運営・保守で戦略提携することで合意したと発表した。首都圏や海外での火力発電所の共同建設の検討も進める。関電が発電所運営などについて他社と戦略提携するのは初めて。電力やガスの自由化で競争が激化する中、電力2位の関電と都市ガス最大手の東京ガスでノウハウを共有し、燃料の安定調達やコスト削減を目指す。
「自由化で競争が激化する中、1社で何でもやるのは無理。液化天然ガス(LNG)分野で親密な東京ガスと関係を広げられないかと考えた」。記者会見した関電の津田雅彦・総合企画本部事務局長代理は強調した。
関電と東京ガスはまずLNGの調達で提携する。夏に電力需要、冬にガス需要が増える季節差に合わせて融通し合い、緊急時にも譲ることを想定。関電が持つ火力発電所の運転や保守のノウハウを東京ガスと共有する。今夏から関電の社員向け研修に東京ガス社員が参加する。
両社は首都圏での電力販売参入・拡大を目指しており、将来必要な火力発電所の建設の協力を検討する。北米やアジアでの発電所の共同建設も検討する。
4月に全面自由化された電力小売り市場では、首都圏が全体の3分の1を占める。関電グループは2014年4月、首都圏で企業向けの電力販売を開始しており、個人向けの参入も目指している。また、来年4月には都市ガス販売も全面自由化される予定で、首都圏などのガス市場でも競争激化が見込まれる。
一方で、東京電力と中部電力の電力大手2社は燃料調達と火力発電部門で包括提携し、先行する形で昨年4月に共同事業会社を設立している。関電と東京ガスは提携の具体化や提携分野の拡大を急ぎ、東電・中電連合に対抗する。【宇都宮裕一、小坂剛志】
関西電力と東京ガスの戦略提携のポイント◇
・LNGを調達する際、需給や市況変化に応じて相互融通
・LNG火力発電所の運転・保守の技術連携と人材育成で協力
・首都圏や海外での火力発電所の共同建設を検討