三重県沖の地震 「巨大地震との関連は精査が必要」

今月1日に和歌山県で震度4を観測した三重県沖の地震について、政府の地震調査委員会は、南海トラフの巨大地震の想定震源域で起きたとしたうえで、想定される巨大地震と同じように陸側と海側のプレート境界で起きたかどうかは現時点では判断できず、今後さらに精査が必要だとしました。
政府の地震調査委員会は11日、定例の会合を開き、今月1日に和歌山県で震度4を観測した三重県南東沖の地震について、南海トラフで想定される巨大地震との関連性の有無などを議論しました。
会合では気象庁の担当者が、その後の詳しい解析の結果、地震の規模を示すマグニチュードは6.5、震源の深さはおよそ10キロとみられ、南海トラフの巨大地震の想定震源域の中に当たることを報告しました。また、大学や研究機関の担当者からは、地震のあとに発生した余震の回数は通常より少なく、およそ10キロ北西へ離れた海域で起きていることや、地震の前後に奈良県や和歌山県の内陸や震源の南東側の海域で、いずれもプレート境界付近を震源とする「低周波地震」と呼ばれる体に感じない小さな地震が観測されたことなどが報告されました。
11日の会合では、観測された余震については、過去の知見がないため評価はできず、低周波地震については、過去にも観測されているものの4月1日の地震の前後に起きているため、今後検討が必要だとしました。
そのうえで、今回の地震が、南海トラフで想定される巨大地震と同じようにプレート境界で起きたかどうかについては異なる複数の見解が示されたため、今後、沖合の観測データをさらに精査するなどして、判断することになりました。
記者会見した地震調査委員会の平田直委員長は「海で起きる地震は観測の精度が悪く、さらに精査する必要があるという結論に至った。ただ、南海トラフでは巨大地震がいつ起きても不思議ではなく、今後、プレート境界でマグニチュード6を超える地震がたびたび起きるようなことがあれば、プレート境界の状態が変化していると解釈できるため注意深く監視を続ける必要がある」と述べました。