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CYCLINGTIME.com

2016/4/11 6:53

パリ〜ルーベ

パリ〜ルーベ:逃げまくって生き残る!レース序盤から逃げ続けたヘイマンが、追いついてきたボーネンやファンマルケ相手にまさかの大金星!カンチェ落車、サガンはその影響で勝負出来ず


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まさかの展開が起きるのもレース、そして石畳のパリ〜ルーベでは時折そういったことが起きるのもまた事実。泣き笑いあり、2016年度のパリ〜ルーベの勝利の女神は、誰も大会には予想すらしなかった一人のベテランに微笑んだ。マシュー・ヘイマン(オリカ・グリーンエッジ)、これといった戦績がない、骨折から復帰したばかりの大ベテランは、大一番でまさかの大金星を挙げてみせた。


『 (C)Tim D.Waele』
大荒れとなったレース、追走をするファビアン・カンチェラーラ(トレック・セガフレド)が石畳の直線でまさかの落車、そしてそのバイクに乗り上げた世界チャンピオンのピーター・サガン(ティンコフ)は、脅威のバイクコントロールで落車は免れたが、追走集団は粉砕され、優勝争いはその前方で逃げ続ける選手たちに絞られた。そんな中でレース序盤から逃げ続け生き残っていたヘイマンに対し、追走を仕掛け合流してきたイアン・スタナード(チームスカイ)、パリ〜ルーベ4度の優勝を誇るトム・ボーネン(エティックス・クイックステップ)、クラシック男セップ・ファンマルケ(ロットNLジャンボ)、そしてエドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ディメンション・データ)は余力を残しての合流だっただけに、ヘイマン不利と言う展開が予想された。


『ファンマルケの仕掛けが号砲となった (C)Tim D.Waele』

『ヘイマンの逃げは見事だった (C)Tim D.Waele』
この5人を追う脱落した逃げの4人の追走との距離を図りながら、勝負どころの石畳区間、カリフルール・ド・ラルブル(セクター4、残り17km)ではファンマルケが、そしてその後のアスファルト区間ではスタナードが仕掛けるなど、駆け引きはどんどんと激しくなっていく。ヘイマンは何度となく揺さぶりから取り残されるが、その都度喰らいついて辛うじて合流を果たし続ける。


『お互いし掛け合いと化かし合い、駆け引きの美学 (C)Tim D.Waele』

『ヘイマンが粘りの走り (C)Tim D.Waele』

『ボーネン激走、復活の走り (C)Tim D.Waele』
そして残り2kmを切りボーネンがアタック、これが決まったかに思えたがここでもヘイマンはど根性の走りで追いつくと、スタジアムの入り口ではファンマルケが、そしてスタナードとボアッソン・ハーゲンもスタジアム内で合流を果たして5人でのスプリント勝負となった。お互いを確認しながら牽制する中、ヘイマンは躊躇なく真っ先にゴールラインめがけて渾身のスプリントを開始する。5人の中では一番スプリント力のあるボーネンはこのヘイマンの動きに対応はしたものの、加速度の差でヘイマンがガッツポーズでゴールを決めた。


『スタジアム勝負に持ち込まれた (C)Tim D.Waele』

『ボーネンの仕掛けは遅すぎた (C)Tim D.Waele』
勝利はしたものの、呆然とし、勝利に実感が無いのか「F*CK」と放送禁止用語を連呼するヘイマン、チーム関係者らの祝福の言葉でようやく表情をもみくちゃにした。

「信じられない、5週間前に腕を骨折して、レースはほとんど走れていなかったんだよ。このレースは大好きなんだ。この勝利を夢にまで見てきたんだよ。でもまさか自分が勝てるなんて思ってもいなかったよ。僕は運が良かったよ。このレースは運が左右するから、とにかく逃げればチャンスが広がるから、アタックをして先行したんだよ。」ヘイマンはホコリまみれの顔で淡々と語った。


『勝利を確信というより本能でガッツポーズ (C)Tim D.Waele』

『渾身の雄叫びでも放送禁止用語連発w (C)Tim D.Waele』

『勝利を実感してようやくこの表情 (C)Tim D.Waele』
「とにかく信じられないんだ。この大会は今年で16度目、トップ10入りを目指していたんだよ。もし今朝誰かが僕に、”今日は君が勝つよ”って言っても僕は信じなかったよ。信じられるわけ無いじゃん、だから夢は夢として、秘かに想いを寄せていたんだよ。でも正直今年は怪我があってあまり走っていなかったから、何も期待していなかったんだよ。骨折した時に、”ドクターは今年のお前のクラシックは終わったよ”って言われたんだよ。でも室内ローラー台で黙々と悶々と練習していたんだよ。まさかこんな展開になるとは思ってもいなかったし、終盤はとにかく平常心で冷静でいることだけを自分に言い聞かせたんだ。そうしたらリラックス出来て、ワクワクし始めたんだよ。最後はレースをおもいっきり楽しんだよ。」ヘイマンは語りながらもまだどこか夢見心地に見えた。

そしてボーネンは5度目の栄冠ならず2位、しかしもう終わったと言われた男が不死鳥のごとく得意のパリ〜ルーベで躍動、まだまだ実力者であるところを見せつけた。そしてスタナードは3位、ファンマルケは表彰台も逃して4位に終わった。


『まさかのカンチェラーラ落車、ライバルたちが巻き込まれた (C)Tim D.Waele』

『スタジアムでの落車はご愛嬌 (C)Tim D.Waele』
この大会を誰よりも狙っていたカンチェラーラは、昨日までの雨で濡れた石畳に足元を救われる形となった。それでもリタイアを選択せずに走り続けスタジアムに入ると、スイス国旗を掲げてのパレードランでなんとまたしても落車をするが、最後は笑顔で観客に手を振りながらのゴールとなった。サガンはフランデルに引き続いての勝利を狙ったが、カンチェラーラの落車が影響し、追走集団が分散したことで追走のチャンスを失ってしまった。


『スタートはいつも緊張の瞬間 (C)Tim D.Waele』

『石畳は選手たちを苦しめた (C)Tim D.Waele』
今年のレースは、昨日までの雨が石畳を濡らしたことで荒れた展開となった。石畳区間を迎えるレース中盤までに何度となく逃げと吸収が繰り返される展開、合計27のパヴェセクター前から波乱を予感させた。そして石畳セクションを迎える時点でようやくこの日の逃げが決まった。その中には逃げを得意とするシルヴァン・シャバネル(ダイレクトエナジー)を含めた中堅選手が顔を揃える。その中にはヘイマンの姿もあり、後続の大集団との差はセクター20手前で最大で4分弱まで広がる。

後続の追走では落車が発生、これで集団が分断され、エティックス・クイックステップのトニー・マルティンが一気に強烈な牽引を見せボーネン、ファンマルケ、スタナードらを引き連れカンチェラーラやサガンらを引き離していく。これが勝利の分かれ目となった。マルティンの牽引は強烈で、当初は人数がいたグループも、気がつけばボーネンを含む僅か5人となり、ファンマルケは一旦遅れをてしまう。


『昨年度は踏切で違反者続出だったが・・・ (C)Tim D.Waele』

『ホイールを持つメカニックたちを背景に (C)Tim D.Waele』

『アランベールはパリ〜ルーベの顔 (C)Tim D.Waele』
逃げを追うボーネングループは森のなかの石畳、名物アランベールを快調に飛ばしていく。対してカンチェラーラはサガンやニキ・テルプストラ(エティックス・クイックステップ)を引き連れながらこちらも快調に石畳を飛んで行く。

ボーネングループと一旦遅れたファンマルケグループはセクター16手前で再び合流、そのままペースを上げ後続で追いすがるライバルたちを突き放しにかかリながら前方の逃げを射程圏内に捉える。猛追するカンチェラーラグループはトレック・セガフレド勢のアシストでタイム差を縮めてくるが、石畳セクションがそのタイム差が一気に縮むのを阻む。そうしている間にボーネングループがセクター13で先行していたこの日の逃げを吸収、その優位性は更に増していく。


『サガンの連勝止まる (C)Tim D.Waele』
そしてセクター12でカンチェラーラが悪夢の落車、テルプストラらを巻き添えにする。またチームスカイにとってもこの日は厄日となった。先のアランベールではモトバイクがエリア・ヴィヴィアーニに接触しただけでなく、レース前方で展開していたルーク・ロウ、ジャンニ・モスコンがまず落車、そしてそれに続いてサルバトーレ・プッチオまでもが地面に転がってしまう。

これで一気に絞られた優勝争いは、ボーネンやファンマルケらが石畳で加速を繰り返してどんどんと選手たちを減らし、僅か5人にまで勝負は絞られていった。最後はその中で最も以外な男が勝利、今年のパリ〜ルーベに最大の驚きを与えた。


『機材も特別なパリ〜ルーベ (C)Tim D.Waele』
パリ〜ルーベ
優勝 マシュー・ヘイマン(オリカ・グリーンエッジ)   5h51’53”
2位 トム・ボーネン(エティックス・クイックステップ)
3位 イアン・スタナード(チームスカイ)
4位 セップ・ファンマルケ(ロットNLジャンボ)
5位 エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ディメンションデータ)   +03”
6位 ハインリッヒ・ハウッスラー(IAMサイクリング)   +1’00”
7位 マーセル・シーベルグ(ロット・ソウダル)
8位 アレクシス・サラモンティス(IAMサイクリング)
9位 イマノール・エルヴィーティ(モビスター)   +1’07”
10位 アイドリアン・ペティ(ダイレクトエナジー)   +2’20”

H.Moulinette
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