サミット後の広島訪問検討 米紙報道
米政権高官が示唆 演説の可能性も
【ワシントン西田進一郎】米紙ワシントン・ポストは10日付朝刊で、オバマ米大統領が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に出席後、広島を訪問する検討に入ったと報じた。「まだ最終決断されていない」としたうえで、オバマ氏が広島に数時間滞在し、核軍縮に関する演説をする可能性も探っているとした。米政権高官らの話として伝えた。
米ホワイトハウスがオバマ氏の広島訪問を検討していることは、ガテマラー国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)が3月下旬に明らかにしたが、検討内容が政権内部の話として報じられたのは初めて。同紙によると、米政権高官は、オバマ氏の広島訪問が実現すれば、就任直後の2009年にチェコで「核なき世界」を提唱したプラハ演説を想起させる演説をする可能性があると示唆したという。
同紙は、現職大統領の被爆地の訪問は、原爆投下への謝罪と解釈されるとの懸念が米国内にあると指摘。共和党などによるオバマ外交に対する「無責任」「弱腰」との批判が高まり、11月の大統領選にも影響しかねないとホワイトハウスが認識しているとも説明した。一方で、側近たちが「オバマ氏が米国内で大きな政治的反動を引き起こすことなく、双方の犠牲者に哀悼の意を表することはできると確信している」と話しているとした。
米国の現職大統領が広島を訪問したことはこれまでない。ケリー国務長官が11日に国務長官として初めて平和記念公園で献花する予定で、それに対する国内外の反応を見極めたうえで最終決断する。