『その女アレックス』
タイトルにもある通り、物語は謎の女アレックスを中心として進んで行く。
「おまえが死ぬのを見たい」男はそう言って女・アレックスを監禁した。
アレックスにとっては突然すぎる出来事だった。
檻に幽閉され、自由な身動きを取ることができず、見る見るうちにアレックスは衰弱していく。
死は目前に迫り、何とか生き延びようと脱出を図るが…。
ページが進むごとに謎の女アレックスの正体と壮絶な秘密が明かされていく。
しかし、まさかまさかの展開に読者は何度も裏切られることになる。
『その女アレックス』は「このミステリーがすごい! 2015」海外編1位などで話題となった。
物語は大逆転を繰り返し、慟哭と驚愕へと突進する。
『その女アレックス』の見所
女の誘拐事件
物語は一人の女・アレックスの誘拐事件から始まる。
道を歩いていた女が突然、車で連れ去られたとの通報が警察に入ってきた。
パリ警視庁の警部・カミーユは部下を引き連れこの捜査にあたることになる。
しかし、いくら調べようとも犯人の手がかりどころか、誰が連れ去られたのか情報すらつかむことができない。
警部・カミーユは「謎の女」が誘拐されたらしいとの不可解な事件を追うことになってしまう。
アレックスの正体
アレックスは最初に「誘拐事件の被害者」として登場する。
しかし、調べれば調べるほどアレックスには不可解な謎と疑惑が次々と出てくる。
『その女アレックス』は全3章で構成されるが、章を追うごとにアレックスの正体がめまぐるしく変わっていく。
謎の女・アレックスは本当にただの「誘拐事件の被害者」なのだろうか?
アレックス視点での物語
この小説では、警部・カミーユ視点と謎の女・アレックス視点で物語が書かれている。
二つの中で特にアレックス視点が凄まじい。
誘拐事件の顛末、犯人との戦い、体力・気力の消耗していく監禁生活の日々が克明に表現される。
アレックスの感じる恐怖が、書き手の文章からガンガン伝わってる。
終わりに
というわけで『その女アレックス』を紹介した。
「このミステリーがすごい! 2015」海外編1位などをとった話題作だが、その名に違わない迫力が本から伝わってくる。
暴力に関する描写は特にすごい。
ハラハラする恐怖のミステリーが読みたい人にはオススメの作品である。
ちなみに、警部・カミーユの別の事件を扱った『悲しみのイレーヌ』も発売されている。
こちらは「このミステリーがすごい!2016年」海外編2位をとっている。