金星に南北6000キロの雲 本格観測へ
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月31日、金星探査機「あかつき」の試験観測が順調に進み、4月から順次本格観測に移行すると発表した。JAXAは同日、あかつきが撮影した最新の金星画像を公開。表面を覆う雲が南北方向にも広がっている様子がとられている。
金星は硫酸でできた雲に覆われ「スーパーローテーション」と呼ばれる秒速100メートルの暴風が東西方向に吹いていることがわかっている。3月13日に雲の量を調べる近赤外線カメラを使い、太陽が当たっていない側を撮影したところ、これまで知られていた東西方向の雲だけでなく、南北方向にも6000キロにわたって厚い雲が広がっていた。雲の成因や一時的な現象かなどを今後解明する。
カメラを開発した佐藤毅彦・JAXA教授は「この雲は太陽が当たると動くのか、しばらくとどまるのか、何回も撮影して調べたい」と話している。
あかつきは2010年12月に主エンジンの故障で軌道投入に失敗し、5年間にわたって太陽を周回していた。昨年12月に金星軌道に再投入されて以降試験観測を開始し、現在は金星を10.5日かけて1周する最大高度36万キロの楕円(だえん)軌道を回っている。【斎藤広子】