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 教科書会社が検定中の教科書を教員らに見せていた問題で、文部科学省は31日、小中学校で使う教科書の選定(採択)への影響について調査結果を公表した。検定中の教科書を見せられた教員や教育委員ら1009人が採択に関与し、うち818人が謝礼を渡されていたという。ただ、文科省は「採択への影響はなかった」と判断した。

 検定中の教科書を外部に見せることは文科省の通知や規則で禁じられている。

 文科省は、教委の採択に関わる立場になりうる公立校の教員を中心に、都道府県教育委員会を通じて調べた。教科書会社が検定中の教科書を見せたのは4525人。このうち、教委に教科書選びを助言する「調査員」などになった教員らは1009人だった。このほか教委事務局職員49人にも見せ、うち40人に謝礼を渡したとされる。(調査の人数はいずれも延べ数)

 1009人のうち、閲覧した会社の教科書に変えたケースが99件あった。このため、採択にあたって教員らが発言した会議の議事録や、調査員が作った資料などを各教委が調査。その結果、教科書会社から便宜を受けて有利になるように働きかけた例はなかったと結論づけた。文科省の担当者は「本人以外の証言を確認するなど1件ずつ審査した結果。文科省も影響がなかったとみている」と話す。