本編とあらすじ
その職権を乱用して私腹を肥やしていた。
その死に際し帝国は、その不正に得た資産の返還を求めた。
だが、カストロプ公の嫡男・マクシミリアンは、
これに反発し、その財力を背景にして反乱を企てた-】
マリーンドルフ伯フランツは、カストロプ公爵家の一門だったが、
「このままでは家が滅びる」とマクシミリアンに諫言した。
しかし、マクシミリアンはまったく聞く耳を持たない。
彼が強気になっているのは、
フェザーン自治領から購入した「首飾りの衛星」によって、
どんな敵にも勝てると思っているからなのだ。
事実、先に討伐軍として派遣された帝国艦隊は、
「首飾りの衛星」によって、あっけなく撃破されていた。
マリーンドルフはフェザーンの策略だというが、
マクシミリアンによって人質にされてしまう。
ところが、マリーンドルフの言う通りで、
アスターテで勝利した帝国の戦力を削ぐために、反乱を仕向けたのだった。
その頃、ラインハルトは元帥府を開き、
キルヒアイスの他に、7名の配下を抱えることになった。
いずれも平民や下級貴族から登用した軍人たちだった。
そんななか。
皇帝より勅命が下り、
ラインハルトとは別行動になるのだが、
何やら裏で、帝国宰相のリヒテンラーデが動いているようだった。
キルヒアイスは、わずか2000の兵力で出撃したが、
彼には「首飾りの衛星」を破壊する秘策があった-。
台詞
アンネローゼ【ジーク、いつも弟がお世話になっていますね】
キルヒアイス【いえ、私のほうこそ、お世話になるばかりです】
アンネローゼ【そんなことはありません。
ラインハルトは口にこそ出さないけど、あなたを本当に頼りにしています。
どうかこれからも、弟のことをお願いしますね】
キルヒアイス【恐縮です。私など・・・】
アンネローゼ【ジーク、あなたはもっと自分のことを評価すべきですよ。
ラインハルトには確かに才能があります。他の誰にもない才能が・・・
でも、ジーク。弟はあなたほど大人ではありません。
その瞳は遠くを見すぎていて、足元が見えなくなることがあるのです。
とくに・・・とくにラインハルトの道が戦いの道である以上、
その足元に何があるか、何によって築かれた道なのか、
それを忘れるようなことがあれば、
ジーク、そんなときはラインハルトを叱ってやって。
ラインハルトを諌めることができるのは、あなただけなのです。
もし、ラインハルトがあなたの言うことも聞き入れなくなったら、
その時は弟も終わりです。そして、ラインハルトが破滅する時は・・・】
キルヒアイス【・・・アンネローゼ様】
アンネローゼ【ごめんなさいね、ジーク。無理なことばかりお願いして・・・
でも、私には他に頼る人がいないのです・・・】
キルヒアイス【おまかせください、アンネローゼ様。
私にできる限りのことは、この身に代えましても】
感想
反乱した貴族との戦いを描いていますが、
のちの伏線になる台詞や、重要な登場人物が出てきています。
ラインハルトの指揮下に入ったのは以下の面々です。
アウグスト・ザムエル・ワーレン
コルネリアス・ルッツ
カール・グスタフ・ケンプ
フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト
エルネスト・メックリンガー
ウォルフガング・ミッターマイヤー
この時点では紹介のみですが、
彼らは数々の会戦で活躍して物語を大いに彩ります。
それにしても、カストロプ公爵は小人でしたね。
己の欲しか頭にない貴族であり、
ただ威張るだけで、一門も配下もまったく信頼していませんでした。
だから、最期は惨めなものになりました。
「首飾りの衛星」は自由惑星同盟の首都星にも同じものがありますが、
その防御力は絶大です。
一枚岩でないカストロプ陣営も、最初はそのおかげで勝てましたが、
なくなってしまえば、どうすることもできないですよね。
しかし、あのどうしようもない公爵に降伏を勧告したキルヒアイスは、
本当に公明正大で優しい人です。
彼のそういった人柄を知っているからこそ、
アンネローゼは安心して弟のことを任せられたんですよ。
ラストでマリーンドルフの娘・ヒルダが登場しましたが、
彼女も重要人物のひとりです。
キルヒアイスとヒルダが面会しているのは、この時だけなんですね。
銀英伝本編の結末を知る筆者は、少しだけ寂しい気持ちになりました。
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