2016年3月23日15時46分
「新古今和歌集」や「小倉百人一首」の選者で知られる平安・鎌倉期の歌人、藤原定家(1162~1241)の日記「明月記(めいげつき)」の断簡(だんかん)が、岡山市北区の林原美術館で見つかった。冷泉家時雨亭(れいぜいけしぐれてい)文庫(京都市上京区)が所蔵する原本(国宝)にもない内容という。
明月記は1180~1235年の56年間の出来事を漢文で記している。
調査した東京大史料編纂(へんさん)所の研究チームと美術館によると、断簡は縦29・2センチ、横10・3センチ。定家が息子の為家とともに、焼失後に再建された天皇の邸宅「閑院殿(かんいんどの)」を訪れた内容。6行にわたって門や建物の名称を記し、「華美」とも書かれていた。時期は1213年2月16~21日とみられる。
巻物や書物の断片243点を集めた「日本古筆手鑑(こひつてかがみ)」(林原美術館所蔵)を調べる中で確認。筆跡などから定家の自筆と判断したという。美術館の浅利尚民・学芸課長は「定家の行動がよくわかり、鎌倉時代の建築史的にも意義がある」と話す。
断簡は4月12日~5月15日、美術館(086・223・1733)で展示される。
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