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アルケー

宝さんの公開サイト診断を始めました。

アルケーのサイトでは、アクセス解析やサーチコンソールの見方などの基礎的な知識を随時提供していきたいと考えていますが、知識は知るだけでは意味がなく、活用して初めて身になるものだと考えています。

なので、基礎的な知識の記事だけではなく、実践した具体例を公開できたらと考えていまして、今回ちょうど前回インタビューをした宝さんが手を挙げてくださったので、このサイトで宝さんの公開サイト診断をやってみたいと考えています。

対象となるサイトは前回公開された「便秘解消プロジェクト」です。

流れとしては、サイトを診断して、アドバイスした改善内容とその実施結果を、1ヶ月に1回程度、リアルタイムに報告していただく予定です。

診断をする人

今回、宝さんの公開サイト診断をするにあたって、私(たかぽん)ではなくて、アルケーの勉強会をメインにやっていただいている小林さんのお力を借りようと思っています。

小林さんは私と同様アフィリエイト歴が10年以上あり、なおかつ前職でSEOのインハウス担当をやられていました。SEOをマーケティングの文脈で語れる希有な人です。

また、サイトに対する客観的な分析に関しては、私が業界内で、最も信頼し、尊敬する一人でもあります。小林さんの凄さは、身近で接してみると本当により理解できます。

つい先ほどまでアフィリエイト初心者にライティングを教えていたと思ったら、次の瞬間、ベテランアフィリエイターと高度な話題について議論しているような、視線の上げ下げを自由自在に行うことが出来る人です。

 

宝さんの背景と現状の課題

今回の報告ではまだ具体的に改善した部分がないので、まずは宝さんと一度打ち合わせをして感じた現状の課題と宝さんの背景について下記にまとめました。

【背景と行動特性】
・現状は、基本的に社員などを雇用しておらず、宝さんと外注ライターが協力してサイトを更新している
・行動力と熱量がありフットワークが軽いのが武器。ただ、やりたいことが次々と出てきて迷ってしまう場面がある
【課題】
・低品質ペナルティーで収益が落ちているので、できれば早期にマネタイズしたい
・とはいえサイトコンセプトがあるので無理な収益化はできない(しない)
・サイトの記事が現在、1階層の並列構造になっていて、このまま記事が増えると、サイドメニューが下にどんどん伸びていってしまう

現在の宝さんの状況と課題を見ると、今後の方向性として明らかに重要なのは、作業に明確な優先順位をつけることだと判断しました。

この便秘サイトは、宝さんのカラーで運営しているサイトですから、基本的にサイトの核となる記事は宝さんが書く必要があると思います。また、取材や、一部外部委託をしても宝さんが監修してアップするのが望ましいでしょう。

1年間このサイトからの収益は0でも全く問題ないという状況だったらすべての記事を丹精込めて順番に書いていっても良いですが、そうではないので、限られたリソースをまずどこに割り振るのか決めることが非常に重要なフェーズだと思います。

どこから着手をするのか

優先順位を決めるためには、まず、サイトの最初のフェーズでどれくらいの収益を目指すのか?という数値目標を決めないといけません。そこから、逆算して今やるべきことを詰めていきます。宝さんと話しあった結果、「このサイトでまずは月100万以上の収益を出すことを目標にしたい」ということになりました。

ということは、このサイトで紹介する乳酸菌サプリの単価が1件5,000円だとすると、月間200個。日に平均で7件程度最低でも獲得していかないといけません。それを踏まえた上で考えると、このサイトではテールワードだけではなくて、ビックワード、もしくはミドルワードはある程度抑えにいかないといけないでしょう。

そこで、現状の「便秘解消プロジェクト」の順位を見てみると、「便秘解消」で21位、「便秘」で78位(2016年3月18日現在)です。この順位をさらに向上させるために何をすべきか考えれば良いということになります。

 

ここで、宝さんのサイトを客観的な視点で見ると、元薬剤師という切り口や、宝さんオリジナルのレシピなどを公開している点は、他サイトにない視点なので大変素晴らしい一方、便秘のことならあのサイトに行けばまあ全て解決するよね、というところまでの網羅性がまだ足りていないという印象を感じました。

つまり、Googleの認識としては、「他のサイトとは少し視点が異なるユニークな要素が見られ、ソーシャルで一時的に話題になったが、便秘のテーマに関してはこのサイトでほぼ網羅できているという状況にはまだ不足がある」という評価かと想定されます。

そう考えると、「便秘解消」で21位、「便秘」で78位という数値はリアルで妥当なラインだと判断できます。

今後、何かの拍子でソーシャルでバズりまくったり、宝さん自体が便秘の権威として有名になったら、現在の記事量でも、さらに上位表示される可能性はありますが、基本的には、サイト全体の網羅性を強化しないとある一定のラインで順位の上昇が止まってしまう可能性は高いと思います。

ですから、再優先で行うことは、便秘の原因や、症状、予防方法、関連する病気などの基礎的なコンテンツの網羅になります。一番やってはいけないことは、順位が上がらないからといってなんとなく思いつきで記事を書くことです。

今回面白いと思ったのは、普通ホワイトハットでコンテンツを増やしていくと、網羅性はあるけど、独自性が足りないという状況になりやすいかと思うのですが、宝さんの場合、独自性はあるのに、網羅性が足りていないというちょっとレアなケースです。つまり、サイトの奥行きはあるけど、幅が足りないという状態です。

また、現在宝さんはこのサイトを、全て並列な一階層で構築しているのでこのまま記事が増え続けると下にサイドメニューが伸びていき、ユーザービリティが悪くなるので、今後の拡張性も考慮して、カテゴリーを新たに作った方が良いでしょう。

ですから、包括的なコンテンツの網羅とサイト全体の骨格矯正をほぼ同時に行っていくことになります。

 

サイトコンセプトと収益の両立

次にサイトコンセプトと収益の両立を考えます。

宝さんのサイトは、「便秘で困っている人を1人でも救う」というコンセプトがありますから、安易なマネタイズをして、サイトコンセプトの根幹が崩れることはしてはいけません。ところで安易なマネタイズとは何なのでしょうか。

私の考えでは、それが別に欲しくない人や、必要のない人にまで自分が紹介したいものを無理やり押しつける行為です。サイトには、当然ただ情報だけを調べに来る人もいますし、便秘関連のクエリで検索する人全てが、乳酸菌サプリを欲しいとは思っていません。

その時に、「便が固いなら乳酸菌サプリがおすすめです!」「便秘解消のお茶も良いけど、乳酸菌サプリはもっと良いです!」とか全てのページで乳酸菌サプリが推されているとユーザーとしては、「このサイト紹介することに必死だな」という印象しか持たなくなります。

別にまだ乳酸菌サプリが必要だと思っていない人には、「あなたはまず水を飲んでみましょう」とか「運動をしてみましょう」で問題ありません。全ユーザーをもれなく取りこもうという貪欲さを捨ててあくまで必要な人にだけ適切な形で訴求することで、サイトの信頼につながります。

現状のサイトでは、商品購入に興味があるユーザーと、ないユーザーを振り分ける導線設計が充分にされていないので、サイトの器を作る作業が必須になります。

 

今後の方向性(まとめ)

少し長くなりましたのでまとめます。宝さんの現在のリソースを考慮すると、作業の優先順位を明確化させることが何よりも重要で、

・便秘というテーマで網羅性を担保するためにどんなコンテンツが必要かまとめる
・それを元に、自分のサイトで足りないコンテンツを把握し、記事を書く
・既存記事をきちんとカテゴリに分類し、サイト全体の骨格を見直す
・商品に興味があるユーザーとないユーザーを適切に振り分ける導線設計を作り上げる

というのが最優先事項です。打合せの際、色々と他にやりたい企画も出てきましたが、サイトの土台となる基盤が整ってから本格的に実施した方がうまくいくと思います。

最近、中規模以上のサイトを見ることが多いのですが、一定以上の結果を出すためにサイトの構造は非常に重要だと思うようになりました。

これは、「こういう構造だとSEO的に良い」という話ではなくて、自分のサイトでユーザーに語りたいストーリーが明確になっている人は、カテゴリの分類や、サイト内の導線が綺麗にまとまっていることが多いです。美しいとすら思う人もいます。これが成果に大きく貢献すると考えています。

逆に、ストーリーが明確になっていないサイトだと、サイト構造は適当で、記事を読んでいると唐突に商品紹介がされていたり、サイトから美しさを感じることがあまりありません。そういう意味でサイト構造は非常に重要だと考えてます。ですから、宝さんのサイトもここが最も重要な部分で時間をかけるべきです。

という感じで、次回からは具体的な改善に入っていきます。

また、公開サイト診断は、現在もう一人実施しておりまして、サイト上でも定期的に募集する予定です。サイトの運用でつまずいていて、何をしていいのかわからなくなってしまった方への指針になればうれしいです。

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