白物家電を中国の美的集団に売却へ
最終調整 週内発表の中期経営計画に盛り込みへ
不正会計問題をきっかけに業績不振に陥っている東芝が、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電事業を中国の大手家電メーカー「美的集団」(中国広東省)に売却する方向で最終調整していることが15日、分かった。週内にも発表する中期経営計画に盛り込みたい考えとみられる。
東芝は白物家電事業などを扱う子会社「東芝ライフスタイル」の株式の大半を売却する方向で検討してきた。当初、白物家電事業をシャープと統合する案を検討していたが、シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業から出資を受け入れる見通しとなり、「海外企業への売却も視野に入れている」(室町正志社長)との方針に傾いていた。
美的集団は「Midea(ミデア)」のブランドで展開する中国家電大手。英調査会社ユーロモニターによると、2015年の世界の台数ベースの白物家電市場占有率(シェア)は4.6%で2位、アジア太平洋地域では10.5%で首位に立っている。東芝が販売網を持つ日本や東南アジアへの販路拡大を目指す。
東芝は子会社で医療機器製造・販売大手「東芝メディカルシステムズ」をキヤノンに7000億円規模で売却する方針を既に固めており、週内の最終合意を目指している。また、富士通のパソコン部門やVAIO(バイオ、長野県安曇野市)との統合交渉は3月中に結論を出せるよう議論が続いている。
東芝は16年3月期連結決算で営業損益が4300億円の赤字、最終(当期)損益も7100億円の赤字を見込むなど業績が急速に悪化。1万人規模の人員削減や事業売却などのリストラ策を進めている。東芝メディカルシステムズの売却がまとまれば最終損益は大幅に改善する見通し。【片平知宏】