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アンノン・ゲーム

人生は未知のもの。だから、私は書き続ける-。

ドラマは料理に似ていると思う

ドラマについて考える 大河ドラマ・真田丸

 

大河ドラマへの賛否両論

 

別のネタを書こうと思ったんですが、

愛読してるブログの管理人さんが、次のような記事をUPしたので、

真田丸について、感想とは違う角度で語ろうと思いました。

 

 

千華さんは昔の大河ドラマにたいへん詳しく、

歴史についてきちんと勉強なさっている方です。

 

そういったトラッドな視聴者にとって、

今回の真田丸は軽い作品に見えてしまうんでしょうね。

 

台詞が現代っぽいという指摘がありますが、

昭和54(1979)年に放送された「草燃える(=石坂浩二さん主演)」でも、

「やだわ、お姉さまったら」という鎌倉時代にそぐわないフレーズがありました。

 

それについて、ウィキではこう書かれています。

 

セリフ面では現代語や現代語調が多用され、

視聴者から大きな反響を呼んだ。

 

(一例として、頼朝が「〜しようよ」と言うなど。

これ以降の大河ドラマでは現代語調の作品が徐々に増加していく)

 

その一方で、人名の呼ぶ際には可能な限り諱ではなく、

通称や官位を用いており、

諱呼びが大変な非礼とされていた当時の慣習を極力反映させている。

 

諱(いみな)とは実際の名前です。

 

真田丸の場合ですと、信繁や昌幸がこれにあたります。

劇中で信繁は源次郎、昌幸は安房守と呼ばれていますね。

 

三谷先生が「草燃える」を観ていたかはわかりませんが、

作風といい、似ているところがあるように思えます。

 

戦国時代の悲壮感については、

武田家滅亡の時点でしっかり描かれていますし、

ライターである三谷先生は、公式サイトのインタビューでこんな風に語っています。

 

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ひとくちに戦国といっても、人それぞれの見方があるんですよ。

 

殺伐とした恐ろしい時代と思う人もいれば、

躍動感のあるエネルギッシュな時代と感じる人もいます。

 

 

こちらの武将ジャパンは、わりと好意的な見方をしていて、

「本作は性別より年代によって受け止め方が違う」と言っています。

 

このサイトは昨年放送された「花燃ゆ」を、

これでもか!というくらい痛快に斬ったことで有名ですが、

私もあれは泣きながら観ていた作品でした。

 

 

美和役をやらされた井上真央さんが気の毒なのと、

筆者の地元の前橋が、パラレルワールドになったことが悲しかったのです。

 

あまりにひどい大河(=群馬では黒歴史になっています)だったので、

一時はHNも楫取から改めようと考えたほどでした。

 

それに比べたら、今回の真田丸はいい作品だと思いますよ。

 

史実の細かいところまで丁寧に描かれていますし、

キャラの個性も際立っていますよね。

 

コーエーによるCGの地図もわかりやすいです。

 

三谷先生が気合を入れて書いてますから、

脚本家の交代ということもないでしょう。

 

きりの成長物語では?

 

真田丸が叩かれる原因のひとつに、女性キャラの描き方があります。

とくに長澤まさみさん演じるきりに対する風当たりが強いです。

 

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(きり:高梨内記の娘)

 

信繁とは幼なじみという設定で、思ったことを何でも言ってしまう性格です。

 

本人も信繁のことを好きなんですが、

父の内記が主家とのつながりを深めたいために、

「信繁と仲良くしなさい」とはっぱをかけています。

 

ところが、信繁には想い人がいるんですね。

 

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(梅:堀田作兵衛の妹)

 

梅はきりの友達なんですが、賢くて癒し系の女性です。

 

信繁とは相思相愛になって最初の妻になりますが、

身分が低いので側室という扱いになります。

 

2人の間にはすえ(阿菊)という娘が誕生します。

ところが梅は若くして亡くなってしまうんです。

 

第9話までの時点では、きりに特別な感情をまったく持っていない信繁ですが、

おそらく梅が亡くなったのちに、彼女が嫁ぐのではないかと思われます。

 

きりは「信繁の生涯のパートナー」となる女性ですが、

彼女もまた、梅と同じく側室の立場です。

 

男性が主人公の大河ドラマの場合、ヒロインはたいてい正室の女性になりますが、

側室のきりが選ばれたのは意外ですよね。

 

こちらのサイトを見ると、なるほど・・・と納得します。

 

 

きりは感情をストレートにぶつける女性なので、

人によっては好き嫌いが分かれるキャラですが、

三谷先生はあえてそういう描き方をしているような気がします。

 

信繁も若い頃は、父・昌幸の智謀に隠れている印象です。

きりも年を経るにつれて、夫を支える妻として成長するのではないでしょうか。

 

はじめは、子供っぽくて鬱陶しい女の子でも、

大人になると、まったく印象が変わることがありますからね。

 

また、ドラマとして考えても、

メイン2人が最初から仲が良くては、順調すぎて面白くないですよ。

 

忍びの出浦昌相に「優しすぎる」と言われた信繁と、

そんな彼に想いが届かず、怒ってお菓子を投げたきりが、

今後どんな風に変わってゆくのか注目ですね。

 

まとめ

 

筆者は、「ドラマは料理に似ているのではないか?」と思うときがあります。

 

素材が良くても、調理が失敗すれば美味しくないものができ上がりますし、

逆に平凡な材料から、工夫次第で美味しい一品ができたりします。

 

甘いものが好きな人もいれば、辛いものが好きな人もいますし、

酸っぱいものが食べたいという人もいます。

 

ホテルのバイキングではないですが、

たくさん並んだメニューから、自分の好きなものをチョイスすればいいんです。

 

ドラマの肝心要は、脚本と演出ですね。

素材を食べやすく切り、お客様のお口に合うよう味付けをします。

 

作った側にとって、出したものを「美味しくない」と言われるのは残念ですが、

視聴者というのは、基本的にわがままなんですよ。

 

だから、ドラマがつまらないと感じたら観なければいいわけですし、

そこは個人の選択の自由です。

 

ただ、自分が応援している作品が、

ネットでいい評価をされないのは悲しいですね。

 

確かに過去の大河は重厚で見ごたえのあるものばかりでしたが、

ドラマは時代を反映するものなので、

平成の世にテレビ黄金期のような作品を期待するのは無理だと思います。

 

去年の「花燃ゆ」のように、地元民が見放すほどの作品ならともかく、

真田丸はまだまだこれから、面白くなると思いますよ。