好みじゃないのに、恋に落ちちゃう。そんなことって、ありますよね。
だけれど恋が実った後に、どうしてもうるおせない渇きを感じたとしたら……?
今回ご紹介するのは、「女性と交際しているが、男性の体が恋しくなる」という方からのご投稿です。
私には現在、遠距離恋愛中の彼女がいます。
彼女とつきあうまで、私には、男性としかつきあったことがありませんでした。最初に彼女が告白してくれた時、「私は男の人しか好きになれないから」と断りました。ですがその後も何度もアタックしてくれて、私は悩んだあげく、彼女以上の人はいないと気づき、おつきあいすることを決めました。
何度かセックスもしました。最初は正直抵抗があったのですが、彼女とのセックスは愛がたっぷり感じられてとても心が満たされます。
ここからが私の悩みです。彼女のことがとても好きでものすごく大切なのですが、もともと女性が好きだったのではなく、好きになった人が女性だった私の場合、時々、男性の体が無性に恋しくなることがあります。男性の体のがっちりした感じ、におい、性器が私は好きなんです。
彼女とは何でも話し合うオープンな関係ですが、このことについては正直に言えません。彼女は傷つくと思います。一度、彼女に「もし私と別れたらまた女の人とつきあうと思う?」と聞かれた時、「私は女の人が好きなんじゃなくてあなたが好きで一緒にいる。あなたと別れたらまた男の人とつきあうと思うよ」と言ったら、少しショックだと言われました。
私はこの時々男性の体を恋しがる気持ちとどう折り合いをつけていいかがわからず、彼女との将来が不安になったり正直に言えない罪悪感のようなものを感じています。
このことを誰にも相談できないのですが、もしまきむぅだったらどうされるかお聞きしたく思っています。
(プライバシー保護のため、ご投稿を編集の上で掲載させていただきました)
ご投稿ありがとうございます。
愛する女性がいながら、男性の体が恋しくなる気持ちを、ご投稿者の方は「罪悪感のようなもの」と表現していらっしゃいます。そう感じてしまうのも仕方ないかもしれません。性欲はしばしば、愛よりも軽んじられ、低いところに置かれるものですものね。
ですが、「性欲よりも愛が尊い!」っていうのは、ひとつの価値観にすぎません。誰に何を言われようが、自分の性欲を自分で罰することはないと思います。
そのうえで、私ならどうするか、というご質問ですが……
はっきり申し上げます。
私なら、彼女とお別れすると思います。
私は、ご投稿者の方と逆のパターンのことを十数年間続けてきました。つまりは、男性とお付き合いし、男性とセックスしながらも、女性の体を恋しく思っていたんです。
「リョウくん(仮名)、大好きよ!(……あとはおっぱいがついてたらもっと好き)」
「カズくん(仮名)、力こぶすご~い!(……まぁ、私にはぷにぷにの二の腕をぷにぷにしてる方が楽しいけど)」
こういうことを続けていたら、どんどん自分が嫌いになりました。自分がものすごいウソつきであるように思えました。感じることより感じるフリをすることばかりに集中して、次第に自分の体が自分の操り人形みたいに思えるようになってきました。
そういう中で、気づいたんです。
「私は、この男の人が好きなんじゃなくて、この男の人を喜ばそうとすることで自分の存在意義を見出すことが好きなんだな」……って。
自分が存在していいって思うために、他人を道具にすることはないよなあ。
そう思って私は、無理に男の人とお付き合いするのをやめました。
おっぱいがついていて、女性らしい柔らかい匂いがする、ぷにぷにした二の腕の女子を想像しながら男子とセックスするくらいなら、はなから女子とセックスしたほうが楽しいし、男子に対しても失礼にあたらないですものね。
だから、ご投稿者の方も別れた方がいいですよ。別れて、男性とお付き合いしましょう。
確かに今は、彼女とお付き合いすることで、心が満たされているのかもしれない。でも、体は満たされないんでしょう。がっちりしてて、男のにおいがして、男の性器がついている人と愛し合った方が、心も体も両方満たされるんじゃありませんか?
……って言いましたけど、余計なお世話よね。
すみません。ついつい彼女さんのほうに感情移入してしまって、意地悪な書き方をしてしまいました。ごめんなさいね。おふたりのことは、おふたりのこと。私がどう思うかなんて関係ありませんよね。
こうして「別れて男と付き合えば?」って言われて、もしご投稿者の方が不愉快になるならば、それは、そうなさりたくはないっていう証拠だと思います。
ならば、です。「つい男の体が恋しくなる気持ちをどうしよう」じゃなくて、「彼女とのセックスライフをいかに充実させるか」っていう方向性で考えてみませんか。
この二人だからこそできる、っていう愛しあい方を見つけましょう。
今は、性別にしばられずに楽しめる道具はたくさんあります。挿入している側も気持ちよくなれるストラップオンディルドなり、女性ふたりが同時に気持ちよくなれるバイブなり、“男性のにおい”を模したフェロモン香水なり。昔は、こうした道具を一生懸命自作していた女性もいたんですよ。ややリスクも伴いますが、クリトリスを挿入可能なレベルに大きく鍛える女性もいます。
道具で“男役”のようなものを担わないにしたって、お互いの体でこその快感を追及するという方向性も考えられますよね。女性どうしでのセックスを追求した指南書やDVDも色々出ていて、たとえば「レズビアン・カーマスートラ」という洋書では、女性どうしで気持ち良くなるための体位が紹介されています。
また、中には、恋愛対象と性欲の対象を分けて考える人だっていますね。お互いに束縛し合わない、いわゆるオープンリレーションシップを結ぶとか、よく話し合った上で男性と割り切った肉体関係を持つというようなことも、双方の同意があるならば何の違法性もありません。プロとして、女性に法の範囲内で性的サービスを提供する男性も、世の中にはちゃんといます。
あなたの人生は、あなたの手で幸せにするものだと思います。何かを押し隠したまま幸せなフリをすることは、どうかなさらないでください。確かに、あなたの言葉は、一時は彼女さんを傷つけるのかもしれません。でも、傷つけ合うことを恐れてわかりあえないままでいるより、傷つけ合いながらもわかりあおうとすることのほうこそを、私は、愛と呼びたいと思うのです。
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