「僕だけがいない街」第8話、「螺旋」の感想です。
※原作は既刊7巻のうち6巻までが既読です。
朝食があまりにも違い過ぎて
藤沼家と雛月家。
朝食のあまりの乖離ぶりに涙が出た回でした。
藤沼家の朝。
加代が見下ろした湯気の立ったテーブルには、目玉焼き、ベーコン、プチトマトサラダ、たくあん、おひたし、ご飯に味噌汁。いっぽう、加代が目をパチリとやった過去回想の雛月家食卓には、NITTAN ポップヌードル、生の食パン一枚、テーブルに置かれた100円玉2個。
無造作に100円玉2個とか悲しすぎる……
雪の公園にひとり、はあーっと白い息を吐く加代の姿が何ともさみしい。
加代にとって、藤沼家のような温もりのある朝食は生まれて初めての経験だったのかもしれない。
加代の嗚咽シーン、泣く時ってわあんわあんと声をあげて泣く演技も多いなか、……ぃぃぃぃっと、こらえ切れなくなったように泣き始める悠木碧さんの演技が素晴らしかったです。場面だけでなく演技にも感動したというか…… 僕街の8話は出勤前の朝からすっかり泣かされた話でした。
何も言わず、背後から涙の加代に手を置く佐知子の手が温かい。
三部けいさんと、おのにちさんの記事
ラストは何をやるんだろう?
どのアニメでもそうなんですけど、「僕だけがいない街」では特にラストが気になります。今回も御多分に漏れず気になりました。寝床に入ったシーンのあたりで、
(そろそろラストが近いかな? 今回はなにをやるんだろう?)
と頭をよぎりました。
結果は食事でしたね。
ああ朝食だったか! しかもああヤバい…… 涙がこらえ切れん。今回のラストはそんなシーンでした。第5話感想で一度書いたことですが、「僕街」の原作者・三部けいさんは、雛月加代役の悠木碧さんにこんなことを語ったそうです。
「僕だけがいない街」の物語は、自分に子供が出来た影響が反映されている。親の立場として現代の風潮に対する想いや、子供に教えられたことなどがストーリーに落とし込まれている
僕街8話の “朝食シーン” は、そんな三部けいさんの言葉を思い出す内容でした。虐待の家庭に貧困過ぎる朝食って、まさに絵に書いたよう……
また本日、「おのにち」のみどりの小野さんがこんな記事をアップされていました。
暗い目の母、生活苦、ウサギの檻で亡くなる子供のニュース……
三部けいさんはおそらく、こういったニュースに対して日々感じた想いを僕街という作品に落とし込んでいったんでしょう。本日は現実に対する想いが反映された作品の意義深さを感じる1日にもなりました。
ペース配分
ぎけんさん(@c_x)という方のツイートです。
僕街。現代パートとペース配分おかしいだろ。とはいえ「事件のループの中にいた」からのサブタイアイキャッチが見事なのと、カレー残ってるのにあえてベーコンエッグの朝食にしたところが良かったな、これを作るのに買い物して早起きしたかと思うと泣けるよね。
— ぎけん@回答の締切は2月末まで (@c_x) 2016年2月25日
ふふっ
そういえばアニメはここまでほとんど過去(1988年)ですね。それだけアニメ制作サイドは雛月が好きなんじゃないかと。バカなの?と言われちゃうぐらいに。もしも原作に比べてアニメの過去配分が多いのならば、私は賛成!と答えちゃいます。自分が僕街のアニメスタッフだったならば、やはりシリーズ構成は過去のシーンを長目にすると思います。
“ペース配分”という意味でもうひとつ。
アニメの進むペース、大丈夫なのかなぁ? 話はまだマンガ前半の4巻すら終わっていない状態みたいです。
(参照):アニメ8話の感想・原作との違い | 僕だけがいない街/ネタバレ考察
アニメ僕街は全12話で現在8話が終了。いっぽうのマンガは全8巻で完結予定。アニメの2/3でマンガの半分弱しか終わっていないというペース配分に、さすがに少し心配になってきました(今話で4巻はほぼ終わったらしい)
まあでもそこはプロですのでね。
12話でキッチリ終わるシリーズ構成を最初からキチンと組んであるのでしょう。別な意味で行けば、スタッフがそれだけこのあたりの描写には力を入れたかった、という事だと思います。
記事を書く前に久々に自分の感想を読み返してみたら……
記事の長さに辟易しちゃいました。
よし、各話感想はこれからなるべく手短に ―
ということで今回は短めの感想になりました。
「あたしジャマだべか?」
母ちゃんに大笑い。いたのか!
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「僕だけがいない街」 (全12話)
(スタッフ)
原作:三部けい
監督:伊藤智彦
シリーズ構成:岸本卓
キャラクターデザイン:佐々木啓悟
美術監督:佐藤勝
音楽:梶浦由記
アニメーション制作:A-1 Pictures
(キャスト)
藤沼 悟(ふじぬま さとる)
満島真之介(29歳)、土屋太鳳(10歳)
雛月 加代(ひなづき かよ):悠木碧
藤沼 佐知子(ふじぬま さちこ):高山みなみ
ケンヤ(小林賢也):大地葉
オサム(修):七瀬彩夏
カズ:菊池幸利
ヒロミ(杉田 広美):鬼頭明里
八代 学:宮本充
雛月母:岡村明美
(主題歌)
オープニング・テーマ「Re:Re:」
歌:ASIAN KUNG-FU GENERATION
エンディング・テーマ「それは小さな光のような」
歌:さユり
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