背景 イケダハヤト様。性根が腐りかけた高須賀と申します。まずは先日あなたを大いにdisった事について真摯に謝罪させていただきます。誠に申し訳ありませんでした。
先日、盟友のトイアンナ氏があなたの事をアイドルであると分析した記事を書きました。読まれたでしょうか?私めの駄文と比べ、大変な名文でございます。その内容の正確さ、見通しの素晴らしさに性根が腐りかけた私は大いに反省し、今後のイケダハヤト教のますますの発展を確信しました。
しかしこれを読んで私はますますあなたの事を正面切って批判しなくてはいけないなと思うにいたったのです。
夢を売るなら何をしてもいいのか
アイドルは一言で言えば夢を売る仕事でございます。子供はAKBの総選挙を見て熱狂的大多数のファンから賞賛を得るその姿に憧れ、彼女らの熱心なファンになります。そのうち何人かはアイドルを目指すかもしれません。
しかし多くの子供はアイドルにはなれません。そこに至るまでには数多くの試練がありますし、なにより良識ある大人達が99%が埋没し、ムチャクチャな努力と才能、運に恵まれたものしかなれない職業を我が子が目指すことを全力で止めるからです。そんな博打みたいな人生を歩ませるぐらいならば、真っ当に勉強して真っ当に育って欲しい。それが正しい大人の対応でしょう。
イケダ様の文章には夢があります。東京で脱サラして高知の片田舎で文章を書くだけで月収数百万。文面だけみればヨダレが滴るような羨ましい生活だと多くの人が思うでしょう。まあ実際は結構努力もしなくちゃいけないし、気苦労も多いしで大変だとは思いますが(僕は正直全く憧れません)
トイアンナさんがあなたの事をアイドルと分析した理由は色々あるかと思いますが、その一つにはあなたが夢を売っている姿があるのではないかと性根が腐った私めのような卑しい存在は推測します。
僕自身、あなたの書く文章に今現在では全くと言っていいほど魅力を感じないのですが、よくよく振り返ってみると高校生~大学生の頃はイケダハヤト様の書くようなタイプの文章にぞっこんラブだった事を思い出しました。巷でそれらは自己啓発本と呼ばれています。
自己啓発本には夢が沢山詰まっていました。お金持ちになれる。本が10倍の速さで読めるようになる。人の心をコントロールする。夢中になって読みました。まあ本を読む練習にはなったので全くの無駄ではなかったのかもしれませんが、もし自己啓発本だけを読んで今まで生きてきたらと思うと正直ゾッとします。たぶんどこに出しても恥ずかしくないスカスカな人間が出来上がっていたことでしょう。
僕は偶然あれらの世界から足を洗う事ができましたが、世の中には自己啓発本から道を踏み外して自己啓発セミナー、ヘタしたらもっとタチの悪いものにはまり込まされてしまう人々が多々います。それを騙されるのは本人の自己責任とするのは、あまりに卑劣な対応といえるでしょう。騙す側と騙される側では騙す側の方が悪いに決まっているからです。
イケハヤポルノ
メイロマさん、こと谷本真由美さんはこれらの自己啓発を総称してキャリアポルノと呼びました。僕はあなたの書く文章の本質は自己啓発本とほぼ同様の性質なものであると思います。なのでイケハヤポルノとでも名づけましょうか。
多分僕がいま高校生だったら、あなたのnoteを買っていたような気がします。イケハヤポルノには東京で満員電車に揺られているダサいサラリーマンから脱却できるかのような文章がさも爛々と並んでいるからです。「ネットでメシが食える」だなんて、実情はどうであれ凄くカッコいいじゃないですか。
高校生の無垢なる僕は、あなたのnoteからその手がかりを頑張って分析しイケハヤフォロワーみたいな存在になって、喜んで毎月お金を払い込んだ事でしょう。ひょっとしたらサロンに入っていたかもしれません。
でも大人になった今ならわかります。あなたのような卓越した例外的な存在になれる確率は、AKB総選挙でセンターを張れるようになるのとそう変わりません。まあ99%の人はあなたの卓越した行き方をみて「自分もそうなれるかもしれない」といったファンタジーを夢見て元気を貰うだけだとは思いますが、そのうち何人かはイケダハヤト様を目指してしまうかもしれません(更にタチの悪いことにあなたは若干それを推奨している部分もあります)
ブログメシ、そんな分の悪い賭けにのって人生を無茶苦茶にしてしまうだなんて、少なくとも自分の子供がそうなろうとしていたら全力で止めます。人生に夢があるのはいい事ですが、人は現実もそれ以上に見なくてはいけないのです。
あなたはサラリーマンを馬鹿にしていますが、99%の人はサラリーマンになれれば生涯をかけて2億円近い金を稼ぐことができます。才能のない日本の人々が一番簡単に確実に手軽にデカイ金を掴む事ができる方法は、東京で消耗する事なのです。夢ある高校生には少々つまらない現実ではありますが。
かつてサリンジャーは「ライ麦畑でつかまえて」という本を書きました。そこで主人公であるホールデンがこのように言うシーンがあります。
「とにかくね、僕にはね、広いライ麦の畑やなんかがあってさ、
そこで小さな子供たちが、みんなでなんかのゲームをしてるとこ
が目に見えるんだよ。何千っていう子供たちがいるんだ。そして
あたりには誰もいない――誰もって大人はだよ――僕のほかには
ね。で、僕があぶない崖のふちに立っているんだ。僕のやる仕事
はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、その子をつかま
えてやることなんだ。(中略)一日じゅう、それだけやればいい
んだな。ライ麦畑のつかまえ役、そういうものに僕はなりたいん
だよ。馬鹿げていることは知ってるよ。でも、ほんとになりたい
ものといったら、それしかないね。馬鹿げていることは知ってる
けどさ」
イケダハヤト様。あなたは夢を売ります。イケハヤポルノという少々タチの悪い夢です。性根が腐った東京でまだ消耗しているサラリーマンである僕は、イケハヤポルノを読んで崖から転がり落ちそうな子供をつかまえてあげる、ライ麦畑のつかまえ役。そういうものになりたいのです。現実を正しく直視し認識する事が、この残酷な世界で生き抜くたった一つの方法なのです。まあ逆にいえばそれが出来れば他人を一億光年突っ放して勝ち上がれたりもするのですが。
最後に一つ。あなたはアイドルのような存在であるという過程に基づいてこの話をしてきました。多くのアイドルは春先の桜のように早々に散ってしまい、二度と表舞台には帰ってこれません。ファンは熱しやすく冷めやすいのです。
僕は初めにあなたはあと数ヶ月で死滅すると予想しましたが、アイドルだと仮定しても正直な事を言えば余命はそんなに変わらないかと思います。せいぜい1-2年程度でしょう。
しかし極々一部アイドルから俳優へと転身し、ずっと輝き続ける人がいます。木村拓哉さんなどがそのいい例でしょうか。あなたが真摯に自分を省みて、ポルノ売りから脱却しアイドルから俳優のような存在を目指した時、また違った未来があるのかもしれません。
以上大変失礼な物言いになったかと思いますし、正直これを読んでいただけるのかどうかわかりませんが筆を置かせていただきたいと思います。
高須賀 拝
<参考文献>
キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)
- 作者: J.D.サリンジャー,J.D. Salinger,村上春樹
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 新書
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