公言しているので憚られる話でもないのだが、僕は結婚生活に2回も失敗している。懇意なブロガー諸氏からは「あなたのところへは辿り着きたくねえっすww」と熱いエールを送られることもしばしば。決して小さくない十字架を背負っているので、面白おかしく語るにも抵抗がある。なのであまりブログネタにはしていない。
でも、今回語る上で僕の身の上話は避けて通れないと判断。吐露させていただくとともに、「結婚も悪くないよね」と素で思わされたサイトについて言及したい。
涙
某日のツイキャス放送にて。沖縄に移住し、そこで幸せな結婚式をハンドメイドで挙げた某ペアのサイトをはからずしも閲覧し、その眩いばかりの幸せに涙腺が緩む。
なんだろう、この暖かい気持ちは。幸せに対する嫉妬だとか憎悪だとか、そんなチャチなものでは断じてない。こみ上げる情熱。忘れかけていた、いや完全に忘れていた気持ちが完ぺきなまでにカムバックした。
『沖縄移住ライフハック』さん。かなり有名なサイトらしいのだが、僕はこの日まで耳にすることがなかった。そして件の記事との遭遇である。衝撃だった。
そこでは新郎と新婦が澄み渡る沖縄の青空のもとで幸せを謳歌していた。暖かい。暖かすぎる。苦しい。微笑ましい。なんという世界だ。こんな世界があるのだろうか。僕は完全に動揺した。もう自分の意志だけではこの思いを止めることはできない。「祝福」といううわべの言葉を突き破って、僕の心にいとも簡単に侵食してきた「幸せ」の津波。完全に氷の城という牙城を切り崩されたわけだ。
紆余曲折もあろうが
これが一部分を切り取ったものだということはわかっている。夫婦生活なんてのは切り取った静止画だけで構成されるものではない。お互いの人生を共有し、苦楽を共にし、想いあい、支え合うことで始めて成就するものだと思う。この夫婦だって色々な苦労をしてきたに違いない。移住を決意したことについても、さまざまな困難があっただろう。それでもお互いに他人同士でコミットし合い、前に進んでいるのだろうということは想像に難くなかった。それでも・・・僕がここまで幸せに当てられたのは偶然とは思えない。
2度の失敗
2回、結婚に失敗した。1度は相手の不貞もあった。自分がサスペンスの世界に迷い込んだ気がして、本気でここは夢の世界なのだろうと逃避すらした経験もある。でも、それは紛れもない現実だった。辛かった。心に穴が開くんだなって、本気で実感した。相手を責めた、責めに責め抜いた。でも結局、それは自分がとった選択の結果であり、そんな辛い思いをすることも自己責任でしかなかった。
また人を好きになった。狂おしいばかりの情熱で相手の人格、人間性を天秤にかける余裕などなかった。それに自分は絶対者であった。努力すれば全ての障害はこえらえる、そう思った。相手がどんな人間であれ、自分がひたすらに苦労すればきっと結果がでるだろう、そう信じて疑わなかった。結局分かり合えることはなかった。意思の疎通ができなければ上手くいきっこない。冷静になった時には遅かった。もうあとには戻れない。十字架を背負った。それでも僕は一人で、自分らしく生きることを選択した。紆余曲折を経て今に至る。
※ブラフが若干含有する、ご容赦を。
諦念
あれ以来、恋愛や結婚というものに夢や幻想を抱くのは止めた。一度きりの人生だけど、どこかからやってきた奇跡で自分が幸せになれるとは思わなかったし、努力すれば自分以外の誰かを変えることができる、なんて不遜なことも考えなくなった。余波の如く押し寄せた、半ばニヒリズムともいえそうな価値観が僕を占めた。「人と人とは、本当の意味で解り合うことなんてないんだ」本気でこう考えるようになった。現在もそれは変わらない。変わらないのだけど。
分かり合えるって究極であり、夢だな
今回、件の夫婦を見て考えが少し変わった。感情に訴えられた部分ももちろんあるけど、そうじゃなくて。「お互いにエネルギーをもってコミットし合い、分かり合い、それで人生を共に歩もうという覚悟を持って進む、結婚するということは素晴らしいことなのかもわからんね」こう考えさせられたわけだ。
僕は、あまりにも辛い思いをし過ぎた。こんなことを経験するくらいなら、もう二度と誰かと一緒になるのはごめんだ。誰かを好きになってたまるものか!そう意固地になっていたのは間違いない。だけど、僕の心を溶かすエネルギーが、この夫婦には秘められていたのだ。驚くことに。まさに驚天動地。
新たな夢とともに(あとがき)
結婚、してみたいね。自分のありとあらゆる部分をさらけだしてさ。そんでもって相手のことも全て知って。良いところも悪いところも全部知って。辛いことは分かち合って、嬉しいことは共有して。そうやって老いすらも一緒に受け入れながら、幸せを築いていく素晴らしさというのを、二度と来ないこの人生で体験してみたいと、そう思わされた。夢がまたひとつ増えた。いつになるかわからないけどね。でも、生きる張り合いがこれで増えたと思うと、凄く嬉しい。
件の夫婦には感謝したい。そして月並みだけど言わせてほしい。
どうか末永くお幸せにね。
終わり