この前、俺の会社にも派閥があるということが分かった。
俺はいつも「私がアイアンマンだ!」と言っているが、実は経理マンなんだ。騙してごめん。
そんな経理マンな俺は色んな部署に顔を出し、必要な書類の催促をする。どさくさに紛れて、その部署の会議や打ち合わせに経理課代表として座っていることがある。もちろん、上司の許可はとっていない。基本、事後承認だ。本来、俺はただの見物人のはずなのだが、いつ間にか中心になって会議を仕切っている。その方がうまく回ることをみんな知っている。それを知っていて、わざと俺を巻き込む人もいる。
自分で言うのもなんだが、リーダーシップはあると思う。意見はしっかり持っている。それでも、会議では一応、上席者の意見が通ったように見えるよう気配りもする。
そうです。俺はA型です。
父はO型で、母はA型のAOの混ざったA型です。家族からは限りなくO型よりのA型と言われています。
実際、会議中もゲスト参加のくせに、他部署の部長たちに理想論を散々述べ、「あなたがたが、そんなことを言ってどうするんですか!」と怒鳴り、問題点と改善策をその場で指摘・提案したあげく、「このやり方ならミスは起きないはずです!しかし、これをやれる人がうちに何人います?少なくとも、この部署にはいませんよね?いたらこんな事態になっていませんよね!」と吠える。結局、俺がそれっぽいことを言うだけで、実は何も解決していなかったりする。でも、みんなそんなことに気付かず、ただ感心して、まあ、とにかく現状のままがんばろうで終わる。やべぇ~な、俺の会社。
新しい人が入ったら、他部署の人でも色々面倒を見る。俺が個人的に作った座席表(会社非公認)を配る。カラーで男女を色分け、読みづらい名前にはフリガナをふり、主な仕事内容を書き加えてある。なんせ、庶務が作成する会社公認のは白黒、名前だけで見づらい。だから、新しく入ってきた人は俺が作ったものを会社公認のものだと勘違いしている。
そういうところがO型みたいだと言われる。でも、A型さ。
さて、なぜこれらを長々と書いたかというと、これらの行動が派閥問題に絡んでくるからだ。
俺の会社には派閥がないと俺は思っていた。ついこの前、俺を『おしゃれ番長』と呼んで仲良くしてくださる営業部長(役員を除けば、実質営業のトップの人)と昼飯を食べていた。総務の平が営業部長と昼からHな話で盛り上がっていた。この件については色々、ツッコミどころがあるだろうが今回の話とは関係ないので無視してくれ。
とはいえ、俺の会社は普通ではないので、理解しやすいよう説明しておく。俺の会社は『社長』の下に、『営業よりの役員』と『事務よりの役員(俺の師匠)』がいて、この3人が会社の実権を持っている。その下に『営業』と俺が所属する『総務』がある。今回、俺が昼飯を食べていたのは、その『営業』の部長である。
俺は『事務より役員』、『総務部長』、『営業部長』と仲が良いという状況なのだ。逆に、『社長』と『営業よりの役員』には嫌われている。一番押さえなければならないところを押さえられていないとうのが現状だ。
そんな中、営業部長とたまに真面目な話もする。たまにね。俺が「うちの会社には派閥がないですよね?」と聞いたら、「あるよ。何言っての?『明恵派閥』が。」と言った。
なんだと!『明恵派閥』!それ俺の名前だよ。誰がいつ作ったの?俺、何も知らないんだけど!
俺は冗談だと思ってそのまま色々聞いていたんだが、ガチだった。
俺の会社は中途採用が多く、昔からいたベテランと最近入社した中途採用の間に壁がある。上のポストが空き出世できるとベテランが喜んでいると、そこに中途採用の部長、課長が入ってくる。これが壁をつくる原因なのだが、『営業よりの役員』のやり方なので仕方がない。
ベテランたちは中途採用の人に冷たい、仕事に支障がでるほど、コミュニケーションをとらない。そこで、俺が間に入って取り持つことになる。
営業部長が言うには、少なくとも営業部長が入社した後に入社した人はみんな俺の派閥で、みんなそういう認識なのだそうだ。中途採用で入った人はみんな『明恵派閥』に入らないと仕事がまわらないとなっているらしい。
道理でみんな俺になんでも聞いてくるわけだ。そして、まったく関係のない打ち合わせに呼ばれるわけだ。
中途採用勢がベテラン勢と張り合うために、俺を祭り上げて、俺を盾にしているということだろう。これはマズい。俺はこっそり会社を乗っ取ろうと思っていたのに、モナさんは社内で俺が社長候補だと言いふらし、誰かが勝手に『明恵派閥』を作っていた。
面倒くさい。全くもって面倒くさい。変なものに巻き込まないでもらいたい。
それでも、俺はA型です。