野村HD株がアベノミクス前の水準まで下落、反転の契機となるか (2)
2016/02/12 17:31 JST
(ブルームバーグ):野村ホールディングスの株価が12日、450円を割り込んだ。これは2012年12月、デフレからの脱却を柱とするアベノミクスを打ち出した安倍晋三自民党総裁が首相に就任する前の水準だ。
グローバル市場で金融株の投げ売りが激しさを増す中、野村HDと大和証券グループ本社の株は8日続落した。12日の取引では野村は最大10%、大和は8.2%下落、それぞれ前日比45.3円(9.2%)安の446.6円、52.5円(8.2%)安の591.1円で取引を終えた。
国内証券各社は、アベノミクスの下での株式市場の活況を受け、株式委託手数料をはじめ、企業の合併・買収(M&A)や新規株式公開(IPO)など投資銀行手数料も伸ばしてきた。SBI証券の藤本誠之シニアマーケットアナリストは、アベノミクス前に比べファンダメンタルズが悪くなっているわけではなく、同セクターは反転する可能性があるとみている。
藤本氏は、野村など証券株は「投げ売りにより、下に行き過ぎている」と指摘。最大手の野村株がアベノミクス前の水準まで下落したことで、「ファンダメンタルズはあの時より悪くなっているのかどうか、ロンドンやニューヨークなどの外国投資家がじっくり考えるきっかけになる」とし、買い戻しが始まる可能性があると見通した。
自社株買い野村HD株は同社が2月2日、昨年10-12月期の純利益が前年同期で半減、市場予想も下回ったと発表してから33%下落している。株価が過去3年間の安値を記録するなど大きく下落したことで、野村が株主還元策として自社株買いを実施する可能性が高まってきたことが9日明らかになったが、同社株はその後も下落を続けている。
野村の永井浩二最高経営責任者(CEO)は9日、ブルームバーグとのインタビューで、配当や自社株買いなどについて総合的に「きちっと考えている」と述べ、自己株取得について「どうせやるのなら、安いときにやった方がいいだろう。それは間違いない」と語った。ただ、時期や規模など詳細については、何も決まっていないとして言及を控えた。
SBIの藤本アナリストは、野村はこうした考えの下、「日本企業にも自社株買いをアドバイスしているに違いない」と指摘、今後企業から自己株取得の発表が相次ぐ可能性もあるとみている。また野村が自ら実施することになれば、マーケット全体が反転する契機となり得ると述べた。
英文記事: Nomura Drops to Pre-Abenomics Level as Japan’s Brokers Slump (1)
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更新日時: 2016/02/12 17:31 JST