G20の協調求める声広がる、通貨変動性上昇や株弱気相場入りで
2016/02/12 16:25 JST
(ブルームバーグ):世界の通貨のボラティリティが急激に高まり、株式市場は弱気相場入りしたことを受け、主要国に協調した対応を求める声が強まっている。
主要7カ国(G7)と20カ国・地域(G20)は過去に時折、共同声明を発表して投資家心理を下支えした実績があるが、今回は課題が複雑なため政策措置を含めたアプローチで一致することは一段と困難になりそうだ。
1980年代にはG7が行き過ぎたドル高の是正で一致し、90年代のアジア危機では先進国が新興国向け救済パッケージの取りまとめに尽力した。2007年の世界的な信用収縮時には米国がスワップ協定を通じて複数年にわたるドル流動性の供給に乗り出した。
しかし今回は、一部の新興国が自国通貨売りに見舞われているものの、それ以外の国の通貨は比較的安定している。中国は通貨安を望む可能性があるが、急激な下落を容認することには後ろ向きだ。先進国では、主要国通貨の方向性にずれが生じており、日本や一部欧州では自国通貨の上昇が行き過ぎているとの指摘もある。
一層緩和的な金融政策への動きや米金融当局によるドル供給が実施されれば、一部新興国通貨の下落に歯止めがかかる可能性もあるが、それに伴いドルが下落すれば、既にマイナス金利を導入している日本や欧州には歓迎されない。政治も制約となりかねず、財政面での協調した対応は想像し難い。
HSBCホールディングスの新興市場通貨調査責任者、ポール・マッケル氏は「こうした要求が出てくるのは常に、市場が一段と切羽詰まってきた時だ。市場は世界の見通しを安定させる明確な決意のようなものを求めている」と指摘。「過去との比較で最大の問題は、少なくとも1国あるいは少数の国を助ける協調が得られるかもしれないが、今回は多くの国が同じ課題に直面している点だ」と付け加えた。
今月中に上海で開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議を控え、投資銀行の一部アナリストらは、為替市場のボラティリティに対応する1985年のプラザ合意のような協調を求めている。中国国営新華社通信は今週の論評で、米国などの先進国の政策の影響が他国に波及して世界中に反響すると指摘し、世界経済ガバナンスで協調と改革を呼び掛けている。
原題:G-20 Coordination Calls Confront a More Complex Global Landscape(抜粋)
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更新日時: 2016/02/12 16:25 JST