中国政府統計局の王保安局長が26日、中国経済に対する悲観的な見通しに反論する記者会見を行った直後に「重大な紀律違反」の疑いで拘束された。王局長は19日、全世界のメディアの前で昨年の中国の経済成長率が6.9%にとどまったと発表した人物だ。米ニューヨーク・タイムズは、中国政府の経済統計責任者だった点からみて、中国の統計に対する諸外国の不信感がさらに強まると予測した。
中国共産党中央紀律委員会は同日、王局長を連行し、取り調べていると発表した。同委は王局長の容疑を重大な紀律違反とするだけで、具体的な理由は説明していない。ただ、中国では重大な紀律違反は一般に収賄を指すことが多い。
王局長は同日午前、米投資家ジョージ・ソロス氏が唱えた中国経済のハードランディング説に反論する記者会見を開いた。中国中央テレビ(CCTV)は王局長の記者会見に関するニュース放送してから10分後に王局長の逮捕を報じた。紀律委が王局長の日程を事前に調整する余裕もなかった可能性がある。香港紙明報は、中国政府幹部が公式行事に姿を見せた当日に連行されるのは前例がないと指摘した。
今年52歳の王局長は経済学の博士号を持ち、財政・租税分野の専門家だ。2012年に財政次官に昇進後、昨年4月に経済社会統計当局のトップに就任した。中華圏のメディアは王局長が財政部在職中に汚職に関与したと推定している。
ニューヨーク・タイムズは「経済専門家の多くは、中国政府統計局が必要に応じ、統計を操作していると信じている。王局長が現在のポストと関係しているのか、前職当時のものかはっきりしないが、今回の出来事で中国の統計に対する不信感がさらに深まりそうだ」と報じた。