西村圭史、飯島健太
2016年1月26日15時40分
刑務所で刑期すべてを終えて出所する「満期出所者」。年間1万人以上いるが、身元引受人がいる仮釈放と比べ、出所後に住む場所も頼る先もなく、再び事件を犯してしまうケースも少なくない。社会復帰に向けた民間の支援も始まっている。
昨年6月、兵庫県加古川市のJR厄神駅前に男性(44)が降り立った。強盗致傷罪で懲役6年、満期で出所したところだった。
神戸市まで電車に乗り、駅近くのカプセルホテルに泊まった。受刑中に知ったホームレス支援をするNPO法人を頼り、なんとか市内でアパートを借りた。
元々の職業は大工。今は月約12万円の生活保護を受けてパソコン教室に通う。「社会の流れがわからない。元受刑者で就職できるのか」。事件当時は3~8歳だった子ども3人の顔まで忘れてしまったが、腕まくらをして寝かせた感覚は思い出す。再犯はしないと今は思えるが、不安や焦りを常に抱える。「社会に適応できる自分を取り戻さないと」。出口が見えない。
一方、支援者と出会い、立ち直った満期出所者もいる。一昨年4月、東北地方の刑務所を懲役10年強の満期で出所した男性(50)。窃盗や強盗などを繰り返して6回目の刑務所だった。
働いたことがある東京に出て区役所や保護観察所で服を3着ほどもらえたが、生活の見通しは立たなかった。ビジネスホテルに泊まり、腰痛のために病院に行くと、刑務作業でためた資金は底が見えた。生活保護を受けたいと別の区役所も回ったが断られた。また刑務所に戻るのか――と頭をよぎった。
刑務所で同房の男から聞いた受刑者の社会復帰を支援する団体を思い出し、電話した。NPO法人「マザーハウス」(東京都墨田区)の五十嵐弘志理事長(51)だった。その日のうちに会い、「何かやればまた刑務所だよ」と問われ、「社会の中でやっていきたい。戻りたくない」と訴えた。生活保護申請に付き添ってもらい、宿泊施設も確保してもらった。
今、都内でアパートを借り、飲食店でアルバイトをする。生活保護を一部受給しているが「自立を目指している。更生したいと思ったが、最初は住む場所もなく、支援はありがたかった」。
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朝日新聞社会部
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