米国債(15日):10年債利回り、一時2%割れ-追加利上げに疑問符 (1)
2016/01/16 07:56 JST
(ブルームバーグ):15日の米国債市場では10年債利回りが一時2%を割り込み、昨年10月以来の低水準を付けた。原油相場の急落と世界的な株安で、景気が減速しているとの懸念が強まり、追加利上げ観測に疑問符が付いた格好だ。
欧州株が弱気相場入りし、米国株は昨年8月以来の安値で終了。米国債は4日続伸となった。原油相場は1バレル=30ドルを割り込んだ。12月の米小売売上高は減少。2015年通年では2009年以来の低い伸びにとどまった。
レイモンド・ジェームズ・アンド・アソシエーツの債券責任者、ケビン・ギディス氏は「安全な逃避先を求めた動きだけではない。景気の基盤がやや揺らいでいる。弱い経済指標がさらに発表されれば、10年債利回りが1.75%や1.5%まで低下するのは、あり得ない話ではない」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.03%。一時は1.98%と、昨年10月25日以来の低水準を付けた。同年債(表面利率2.25%、2025年11月償還)の価格は15/32上げて101 29/32。
金融政策に最も敏感な2年債利回りは4bp低下の0.85%と、11月13日以来の低水準となった。
ブルームバーグの債券指数によると、期間が1年を超える米国債の1月のトータルリターンは約1.6%。2015年は通年で0.9%だった。一方、S&P500種株価指数の年初からのリターンは再投資された配当を含んだベースで約8%のマイナス。
HSBCホールディングスの債券調査責任者、スティーブン・メージャー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「商品市場の状況が国債利回りの水準を正当化している。原油と株式相場は世界経済がかなり弱いことを示唆している」と述べた。
12月の小売売上高(速報値)は前月比0.1%減。前月は0.4%増(速報値0.2%増)に下方修正された。国内総生産(GDP)の算出に使用される、飲食店、自動車ディーラー、建築資材、ガソリンスタンドなどを除くコア売上高は0.3%減と、2月以降で最大の落ち込み。前月は0.5%増に下方修正された。
金利先物市場の動向が示す3月の利上げ確率は約28%。この算出は次の利上げ後に実効フェデラルファンド(FF)金利が新たな目標レンジの中央になるとの仮定に基づく。昨年12月16日にほぼ10年ぶりに利上げが実施され、同月30日にこの確率は53%まで上昇した。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁は今年の米経済について、潜在力を上回るペースで成長し続けるだろうと指摘。ニュージャージー州サマーセットで開催された年次エコノミック・リーダーシップ・フォーラムでの講演で、昨年12月15、16両日の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、経済の「状況はそれほど変わっていないように見受けられる」と述べた。
FOMC政策決定当局者の予測中央値では今年4回の利上げが見込まれている。実際にそうなると、実効FF金利は1.375%となる。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、デリバティブ(金融派生商品)市場が予想する実効FF金利は約0.7%と、1回の利上げを示唆している。昨年12月30日時点では0.93%と、0.25ポイントの利上げを2回織り込んでいた。
原題:Treasuries Triumph as Tepid Inflation Outlook Seen Slowing Fed(抜粋)
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更新日時: 2016/01/16 07:56 JST