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【軽井沢スキーバス転落】
「他社はもっと安い」歪み生む格安競争 運転手の勤務態勢にしわ寄せ
長野県軽井沢町で転落事故を起こしたのは、「激安」を売りに若者の人気を集めていたスキーツアーの貸し切りバスだった。スキー人口の減少に歯止めがかからず、各旅行会社は割安なプランを売り込んでいる。だが、過度な価格競争の影響がバス会社に及び、運転手の勤務態勢にも影を落としているのが実態のようだ。
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バス会社は下請け
「他社さんはもっと安かったけど、おたくはこの額で受けてくれないの?」
千葉県の貸し切りバス会社の担当者は、旅行会社から無理な金額をよく提示されたと打ち明ける。旅行会社は「元請け」、バス会社は「下請け」-。これが業界の構図という。
民間信用調査会社などによると、事故を起こしたバス運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)は、もともと警備会社。平成26年5月からバス事業を展開する新規参入組だった。
業界団体関係者は「大手のバス会社は乗務員教育にも金をかけられるが、新規参入の中小はそうはいかない」と話す。