なお収集している情報は主に食品中化学物質に関するもので、食の安全にとって最も問題である微生物関連情報は扱っておりません。
参考食品安全情報ナビbyましゅうさん
2016-01-14
■お知らせ
本が出ました
- 作者: 畝山智香子
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2016/01/12
- メディア: 単行本
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これを読めば、食品安全委員会からの「健康食品」に関するメッセージがよりよく理解できる(?)と思います。
https://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.html
特に薬剤師のかたには是非読んで欲しいと思っています。
ドラッグストアチェーン店の中には薬剤師が健康食品を薦めることを売りにしているところがあるようですが、薬についての専門知識をもつ国家資格である薬剤師は、医薬品といわゆる健康食品の違いを明確に知っているはずです。それをきちんと患者さんに説明するのが専門職としての責務です。でも現実にはそうでない状況があるようで、とても残念です。
それから消費者の相談をうけるような立場の方々に。
もちろん一般のかたにも届けたいのですが、「売れる心配はない」と言われていたりするので。
■[TGA]安全性助言
Viagra 007 tablets
13 January 2016
http://www.tga.gov.au/alert/viagra-007-tablets
Viagra 007錠剤は認可されている医薬品であるバイアグラとは関係ない。TGAの検査で表示されていない処方薬成分が検出された。製品の写真あり
(何が検出されたか書いてない。007も無断使用だろうけど)
■[EFSA]殺虫剤とミツバチ:EFSAはネオニコチノイド評価を更新する
Pesticides and bees: EFSA to update neonicotinoid assessments
published: 11 Jan 2016
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/160111
種子処理と顆粒として使った場合のリスクについての更新を2017年1月までに完了する予定
■[NHS]妊娠前のじゃがいもに富む食事が糖尿病リスクを上げる可能性
Behind the headlines
A potato-rich diet before pregnancy could up diabetes risk
Wednesday January 13 2016
Daily Telegraphが「妊娠前にじゃがいもを食べると糖尿病リスクが増える」と報道した。研究者らが妊娠前にジャガイモの多い食生活をしていたと報告した母親の妊娠糖尿病リスクが小さいながら有意に増加することを発見した。妊娠糖尿病は妊娠中の血糖が上がることによるもので通常症状はないが放置すると合併症をおこすことがある。イングランドでは通常ルーチン検査されているので問題にはならない。診断された場合には通常食事と運動でコントロールできる。この最新研究は米国の21693の妊娠記録をみたもので、定期的にジャガイモを食べていたと報告した女性で妊娠糖尿病の可能性が高いことを発見した。研究者らは週に5単位以上のジャガイモを定期的に食べる女性の妊娠糖尿病リスクが全く食べない人より50%高くなると推定している。この数字は高いように聞こえるかもしれないが、この研究での妊娠糖尿病の全体の発症率は5.5%と報告されている。研究者らはジャガイモがグリセミック指数が高いためだと考えている。関連が発見されたが因果関係は証明できない。この研究結果を理由にジャガイモを食べるのを止める必要はない。そうではなく、野菜や果物を十分にして食べるものの種類を多くすることが必要な栄養を含む健康的でバランスのとれた食生活を簡単にする。
■[論文]論文
- 一月禁酒のようなキャンペーンはむしろ害になる?
Could campaigns like Dry January do more harm than good?
13-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/b-ccl011216.php
BMJ。二人の専門家が賛否を議論。
- 冠動脈心疾患に関連する飽和脂肪と砂糖のエビデンス
The evidence for saturated fat and sugar related to coronary heart disease
13-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/e-tef011316.php
アテローム性冠動脈心疾患(CHD)は米国では6人中1人の死因で先進国では主要死因である。これまで医療専門家はCHD予防のために飽和脂肪を制限することに焦点をあててきた。
Progress in Cardiovascular Diseasesに発表された論文ではこれは間違っていたのか、砂糖の方が影響が大きいのか?という疑問を検討する。
食事中飽和脂肪が血中コレステロール濃度を上げ心疾患を促進するという理論は1950年代のアメリカの科学者Ancel Keysが発端である。1960年代と70年代に米国心臓協会と米国連邦政府が受け容れた。しかしKeysの研究と同じ頃英国の生理学者John Yudkinが砂糖の方が関連が高いと主張していた。KeysもYudkinも彼らの理論を観察研究からは概ね支持できた。飽和脂肪の多い食事をしている人は砂糖も多かった。著者らは基礎科学や疫学、臨床試験データなどから砂糖、とりわけ精製された添加された形での、のほうが飽和脂肪よりCHDには寄与が大きいと結論した。飽和脂肪を炭水化物、特に砂糖のように精製されたものに代えることは脂質プロファイルに負の影響がある。
結論として食事助言は飽和脂肪を減らすように、から添加された糖を減らすように、にシフトすることが適切なようだ、と著者は言う。最も重要なことは可能であれば食品丸ごとを食べ加工度の高い食品は避けることを支持するように助言すべきである。
- 揮発性有機植物化合物研究の神秘を解く
De-mystifying the study of volatile organic plant compounds
13-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/bsoa-dts011316.php
世界中の全ての植物が有機化合物を放出している。新しいレビューはこれらをどう研究するかについて説明する
Applications in Plant Sciencesに発表。
植物の葉から放出される化合物は測定が困難で極めて不安定である。各種測定方法の利点や欠点を解説した。
- 赤潮に関連する毒素が家庭の水槽で発見された
Toxins related to 'red tides' found in home aquarium
13-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/acs-trt011316.php
Environmental Science & Technologyに発表された研究。オランダで水槽の掃除をしたところ家族4人が病気になって入院することになった水槽のソフトサンゴと人工海水から高濃度のパリトキシンを検出した。
- あなたの貧しい食生活はあなたの孫の腸を傷つけるかもしれない
Your poor diet might hurt your grandchildren’s guts
By Katherine Harmon CourageJan. 13, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/01/your-poor-diet-might-hurt-your-grandchildren-s-guts
マウスに繊維の少ない食事を多世代にわたって食べさせた研究で、世代を経る毎に腸内細菌の多様性が減少した。
無菌マウスにヒトの糞を与え、それから低繊維食を与えたところ細菌叢は4世代で多様性が低下したところで安定した。
Nature。
Diet-induced extinctions in the gut microbiota compound over generations
Erica D. Sonnenburg et al.,
Nature 529, 212–215 (14 January 2016)
Microbiome: Fibre for the future
Nature 529, 158–159 (14 January 2016)
- イミダゾリノン耐性(CV127)大豆で作った大豆ミールによるラットとトリの餌投与試験
Rat and poultry feeding studies with soybean meal produced from imidazolinone-tolerant (CV127) soybeans
Xiaoyun He et al.,
Food and Chemical Toxicology Volume 88, February 2016, Pages 48–56
ラットでは最大30%、90日試験とブロイラーの成長パフォーマンス試験。いずれも対照群と差はない
■その他
- 飲酒問題を解決する
Natureエディトリアル
Solving the drink problem
13 January 2016
http://www.nature.com/news/solving-the-drink-problem-1.19142
英国の新しい飲酒ガイドラインは根拠に基づいた政策決定の良い例である
David Bowieは‘Heroes’で「ひっきりなしに飲むだろう」と歌った。アルコールはBowieの人生にとって重要だったが多くの追悼は週末に彼が死亡した時は非飲酒者だったことを指摘した。英国人はアルコールと奇妙な関係をもっている。他国の人々もバーや食事で飲酒するが英国人の多くはまるで誰かが取り上げようとしているかのように飲酒する。今や誰かが取り上げようとしている−少なくとも先週の政府の飲酒ガイドラインへのメディアのコメンテーターの反応を見ると。飲酒量を減らそうと新年の誓いをするタイミングで、英国医務部長が男性も女性も週に14ユニット以上飲むべきではないと発表した。これはワインなら7杯、平均的強さのビールなら6パイント(500mLくらい)になる。英国男性にとってこれは先のガイドラインである週に21ユニットより相当少ない。また他の国の同様の助言より少ない。
予想通り、多くの反対意見が政府が人々の生き方に干渉するなといった政治的主張だった。右翼の政治家Nigel Farageは「過保護国家」政策だという。新しいガイドラインの科学的医学的根拠への反対派それほど大きくはない。英国人のほとんどが飲み過ぎは悪いことだと嫌々ながら認めているようだ。
実際一部の人たちが反対しようとはしているものの英国政府は人々の飲酒量を減らそうとし始めた。飲酒量は減っていて飲まない人が増え若い暴飲者は減っていると報告されている。飲酒に「安全」な量は存在しないという発表はしっかりしたものである。このことに反対したい人は医務部長の委員会が作ったガイドラインのエビデンスを最初に読むべきである。新聞などが作ってきた適量飲酒は健康に良いという物語とは違って、過去20年の豊富な新しい根拠は飲酒ががんリスクと関連することを強く示している。55才以上の女性でごく僅かの摂取量の人でのみほんの少しの利益が確認されているだけである。
根拠に基づいた助言をすることと実際に行動を変えることは別のことである。多くの英国人男女が定期的に飲み過ぎであることを認めている。一部の人は週に50ユニット以上飲んでいる。そしてガイドラインがほとんど行動に影響を与えないという厳しい事実もある。
それでもこれが出発点であり、新しいガイドラインを作ることに貢献した科学者は誇りをもつべきである。しっかりした根拠を科学的根拠のある政策につなげることは全ての人が祝福すべきことである。
- Biden副大統領の「月探査ロケットの打ち上げ」はがん研究にとって何を意味するか
Scienceニュース
What Vice President Biden’s moonshot may mean for cancer research
By Jocelyn KaiserJan. 13, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/01/what-vice-president-biden-s-moonshot-may-mean-cancer-research
Joe Biden副大統領が新しくがんを治すための「ムーンショット」計画を発表したことについて、がん研究者は歓迎しつつも詳細を心待ちにしている。彼らは計画に自分たちの考えを入れるよう要請する一方で特定のがんを治すことへの期待を宥めている。彼らの希望はNIHへの安定した資金増である。
Bidenは息子Beauを昨年脳腫瘍で亡くし、2015年10月に最初に彼のがんムーンショットを発表した。Obama大統領がこの計画について昨晩一般教書演説で「亡くした愛する人のため、まだ救うことのできる家族のため、アメリカをがんを決定的に治せる国にしよう」と述べた。
がん治療への誓いは1970年代のNixon大統領の「がんとの戦い」や先のNCI所長Andrew von Eschenbachの2015年までにがんによる苦しみと死亡を無くすという誓いを思い出させる。科学者は概して200以上の病気からなる複雑な疾患であるがんを厳しい期限を儲けて研究するのは避けようとする。特定のがんについては進歩があるが。臨床の研究者も全てのがんで一律に完治を目指すことには懸念をもっている。がんの種類や患者によりアプローチは異なる。
Bidenは関係者と話し合いを続けている。
- 食品偽装:ウマ肉スキャンダルの教訓
Food fraud: lessons from the horsemeat scandal
12 January 2016 • Author(s): Victoria White
英国でウマ肉スキャンダルが最初に発覚してから今月でちょうど3年。この事件は食品の汚染リスクプロファイリングを大きく変えた。以前は一般的に別の動物の肉の混入はリスクとはみなされず検査はされていなかった。今やあらゆる混入可能性を検討する必要がある。
EUの食品真正性プロジェクトは2014年から5年計画で進行中
FoodIntegrity
https://secure.fera.defra.gov.uk/foodintegrity/index.cfm
- 新しい調査は「ヘルシー」スムージーはビッグマックと同じくらい悪いことを発見
New survey finds ‘healthy’ smoothies are just as bad as a Big Mac
January 14, 2016
LiveLighterによる40の市販コールドドリンク調査の結果、一部の製品にはビッグマックより多くのカロリーが含まれソフトドリンクより砂糖が多い
Boost Juiceの‘Brekkie to Go-Go スーパースムージー’は2560kjで、ビッグマック1つ(2060kj)より500kjも多く砂糖はティースプーン18杯含む。‘Protein Supreme’は2360kjで砂糖12杯、Gloria Jeansの ‘Mango Fruzie’は「98%無脂肪」と宣伝していて砂糖を17杯含む。食品販売業者は「無脂肪」や「乳製品を含まない」などの文言を使って健康によさそうに装うが実際にはそうではない。
Boost Juiceは一部のスムージーは食事代用品であり炭酸飲料とは違う、と言っている。
Healthy summer drinks hide more kj than a Big Mac, health experts warn
12/01/2016
- マニトバはフェンタニル流行を予防するため専門委員会を作る
Manitoba creates task force to prevent fentanyl epidemic
Published Wednesday, Jan. 13, 2016 9
ブリティッシュコロンビアとアルバータでフェンタニルに関連する過剰使用による死亡数が増えているため、マニトバ政府はオピオイド薬物濫用対策を行う。マニトバ州ではまだフェンタニルの流行はおこっていないが、我々は遠ざけておきたい、とマニトバ検事総長Gord Mackintoshは述べた。
- 学者がアルコール報告書に「愕然とする」−ニュースから
SMC NZ
Academics ‘appalled’ at alcohol report – In the News
January 14th, 2016.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2016/01/14/academics-appalled-at-alcohol-report/
二人の研究者が、企業がお金を出した報告書がオーストラリアとニュージーランドでの夜間の暴力にアルコールはほとんど影響がないと主張したことを非難する
オークランド大学の研究者Nicki Jacksonとオタゴ大学Kypros Kypri教授が、今週アルコール業界がお金を出して作成した報告書への批判をAddictionに発表した。もとの報告はLionが出資し飲酒者やバーの従業員や政治家などにインタビューしてバーや都市部での夜間の暴力は文化のせいであって飲酒そのものではないと主張する。しかしJacksonとKypriは強く反対する。この報告は自分たちに都合のいいものを選択したもので、過去のエビデンスを無視している。基本的研究の標準を満たさないものであっても、それがアルコール業界に利用されて公共政策をひっくり返そうとするのに使われる以上、無視することはできない。
この批判はオーストラリアとニュージーランドのメディアで広く報道された。
(以下リンク)