まだまだ外来では胃腸炎が多く、ノロウイルスがよく出ています。
国立感染症研究所のホームページで流行状況の確認ができるので、今年の流行具合を調べてみました。
以下がノロウイルス等検出状況です。
ノロウイルス等検出状況 2015/16& 2014/15シーズン(2016年1月11日現在報告数)
国立感染症研究所のデータは週報なので52週は年末年始に値し、1週は1/4~に値します。(報告週対応表)
図の下の段が2014/2015年(昨シーズン)、上の段が2015/2016年(今シーズン)になります。
2015年も2016年も1週が少ないのは医療機関が空いていない、集団生活がない(会社や学校、幼稚園、保育園が休み)ため、自動的に減ります…
図の下の段(昨シーズン)をみるとわかりますが、15週(2015年では4月の頭)くらいまでは断続的に胃腸炎は流行を続けます。
まだまだ胃腸炎は続くので注意が必要です。
大事なのは手洗いやうがい。そして嘔吐物の片付け。
うがいはもちろんやったほうがベター。
うがい薬に関しては使用せず、水道水で十分だと考えられています。
うがいに関しては過去に記事を書いているので参照していただけると幸いです。
嘔吐物の片付けに関しては日経新聞が良い記事を出していました。
また、ノロウイルスはアルコールが無効なので、消毒の際は次亜塩素酸などの消毒液が必須となります。
なぜ効かないか興味がある方は下記を参照してください。(ちなみにインフルエンザウイルスにはアルコール消毒は効きます。)
また日経新聞にも記載されていましたが、嘔吐物はウイルスを1.6-2.3mくらいの範囲に広げると言われています。
嘔吐物に含まれるノロウイルスは、どのくらいの範囲まで広がるのでしょうか。東京都健康安全研究センターが、模擬嘔吐物を各種床材の上に落下させる興味深い実験結果を公開しています。
最初に、高さ100cmから落下させて、床面で飛び散る範囲を調べたところ、模擬嘔吐物は半径2.3mの範囲に広がりました。85cmの高さから落下させたところ、飛沫は1.6mまで上がりました。また、飛散した粒子の中で、直径が小さなものは、数時間にわたって空気中を漂う可能性があることも明らかになりました。
この結果は、消毒すべき範囲の目安となると共に、嘔吐から数時間後まで、空中にウイルスを含む粒子が漂っており、積極的に換気をしないと、清掃後に室内に入った人の顔などにウイルスが付着して口に入る危険性があることを示しています。
なので、清掃も徹底的に行わないと感染拡大してしまいます。
学校や幼稚園、保育園など集団生活を行うところではより一層求められます。
ちなみに胃腸炎にかかった場合、治療は特にありません。
医療機関では吐き気止めや整腸剤を渡されますが、劇的には効きません…
吐き続けても少量ずつの水分摂取を続けるしかないです。
幸い嘔吐のピークは24時間くらいなので、強い脱水になる方は少ないです。
24時間以上嘔吐が続き、水分摂取が困難になれば医療機関で点滴してもらっても良いかもしれません。
胃腸炎は辛く、かかってもインフルエンザみたいに特効薬がないので、しっかり予防(手洗い、うがい、嘔吐物の処理)を行いましょう。