ヤマハ発動機、悲願の「4輪車」参入を決断か
競合は独ダイムラー、欧州に超小型車で勝負
「2輪とマリンだけでは、この先、生き残っていけない」
ヤマハ発動機(ヤマ発)の柳弘之社長は、危機感をそうあらわにする。2015年度、過去最高水準の営業利益1250億円を見込む状況にあるにもかかわらず、だ。
東京モーターショーで4輪車を展示
多岐に事業を手掛け、その中から次の成長事業を模索するのが、ヤマ発の“DNA”。1955年に日本楽器製造(現ヤマハ)から分離し、2輪車を主軸にスタートしたが、現在の稼ぎ頭はボートや船外機などのマリン事業となっている。
そして今、新規ビジネスとして注目を集めているのが、実は4輪への本格参入だ。ヤマ発は2013年の東京モーターショーで、2人乗り超小型コンセプト車「MOTIV(モティフ)」を公開。続く2015年にもスポーツカーの試作車を展示し、4輪への挑戦意欲を示し続けてきた。
ここにきて4輪参入の可能性が高まっているのは、ヤマ発が一段上のステージに昇るため、土台作りの時期にさしかかっているからである。
2009年度にヤマ発は、リーマンショックの影響で、2161億円の最終赤字に転落。そこで国内工場の再編などコスト削減に努めた。その後は、円安や先進国景気の回復といった外部要因にも助けられ、業績はV字回復を果たした。