少数巻完結でおもしろい漫画
ホントは「全◯巻・完結済みおすすめ漫画!」とかやりたかったんですが、そこまでおすすめ漫画のストックがたまっておらず。しかしおもしろかった漫画の紹介は気持ちが熱いうちに!ということで、最近読んだ漫画、おすすめの3作をご紹介。いずれも少数巻で完結済みです。
麻生みこと「海月と私」全4巻
父の遺した海沿いの田舎宿「とびうお荘」を継いだ、元板前の主人公。廃業までのわずかな期間、短期の仲居を募集することに。やってきたのは若く美しく人柄よく、そして素性の知れない「海月」のような女だった。とまどいつつも、彼女との転がるような生活が始まって―。
最近読んで一番はまった漫画。基本的に一話完結。旅館の泊り客と仲居+主人公とのちょっとコミカルで人情味のあるやり取りが描かれます。と、これだけならわりとありがちな旅館モノ漫画。この「海月と私」のおもしろさは仲居・岩松梢のミステリアスさにあり。ほんわかエピソード・時にロマンチックにひたっている読者を、要所要所で彼女の「謎」に引き込む作者のスカしっぷりが実にウマイ。これ連載中に読んでたらめっちゃやきもきしてたと思いますが、完結してくれてて良かった(笑)。先が気になって全4巻一気読み。特に最終4巻の怒濤の展開は必見です。あらすじだけ見ると「大人の展開」を期待しちゃいそうですが、そっちに振れそうで振りきらないのも好感度高し。主人公の「転がされっぷり」に笑いがこみあげます。そして結末を知った後で再読すると新たな気づきがあってこれまたおもしろい。おすすめ。
麻生みこと「路地恋花」全4巻
「路地恋花」で「ろおじコイバナ」と読みます。京都のとある路地にある、職人やアーティストの集う長屋を舞台に描かれたオムニバス。「海月と私」がおもしろかったので同じく麻生みこと氏による本作を読みましたが、こちらもいとをかし(※連載・完結は「路地恋花」の方が先)。手作り本・銀細工・蝋燭(ロウソク)などの職人や、小説家、花屋、美容師まで、幅広くクリエイティブに関わる若者たちの生き方を、彼らの恋模様を交えながら描きます。
一話一話がとても丁寧に描かれていて、何度も眺めていたい魅力があります。どの話も京都らしくはんなり味わい深いのですが、モテモテの花屋とちょっと訳ありな女性検事の恋の顛末を描いた第六話「花屋一松」とその続き・第十六話「花屋一松 その2」が、特に好きなエピソード。オトコとオンナの物語に「職人の意地」が絡んでくるのが、この「路地恋花」のおもしろいところ。頑なな職人気質が物語に芯を通している、というか。
新川直司「新装版 さよならフットボール」全2巻
男子サッカー部に所属する主人公・恩田希(おんだのぞみ)。彼女は誰もが認める技巧派プレイヤーだが、フィジカルの弱さ故に監督に試合出場を認めてもらえない。そんな希は幼いころに舎弟だった「ナメック」に再会。男らしく成長を遂げ、他校のサッカー部キャプテンとなったナメックに挑発された希は、新人戦で彼との対決を決意。しかし監督は希を試合に出すつもりもなく。そんな中、希は試合に出るべく「強行手段」を取る―。
「四月は君の嘘」で人気の新川直司氏の描くサッカー漫画。男子と女子の体格差が露わになるという抗いがたい事実に葛藤しながらも、しかしめげずにひたむきに大好きなサッカーに向かっていく主人公。ナメックと対決する中で新たな成長を遂げ、やがて試合を支配していくその姿に思わず手に汗握ること必至。新川氏描くサッカーの躍動感も素晴らしい。「さよならフットボール」という意味深なタイトルも噛み締めながら読むと、青春の1ページに漂うほのかな寂寥感も手伝っていつまでも心に残る読後感。そして弟くんはひたすら不憫。
まとめ
以上、「最近読んだ完結済みおすすめ漫画3作」でした。同一作者の作品が2つ、というのもどうかと思ったのですが、おもしろかったんだからしゃーない。そして私は講談社の回し者ではございません(笑)。いずれも少数巻で完結済み。手を出しやすい作品ばかりですので、ご興味を持たれたら是非どうぞ!