『特殊詐欺』最新動向
やはり依然として、高齢者の資産を標的とした詐欺が問題です。
警察庁の最新の報告書によると、高齢者(65歳以上)被害の特殊詐欺の件数が、上半期で5,408件(+544 件、+11.2%)と大幅に増加。その割合(以下「高齢者率」という。) は、77.2%。
被害総額は、平成26年度で565,5億円。平成27年度上半期は、過去最高の勢い、236,5億円に上りました。高齢者への詐欺の代表的な3類型である
- 『オレオレ詐欺』
- 『還付金詐欺』
- 『金融商品詐欺』
この中では、金融商品詐欺が減少し、オレオレ詐欺、還付金等詐欺は増加しているとのことです。
日本、資産の保有方法の半数以上が、現金預金
いまや、個人金融資産の6割を 60歳以上の高齢者が保有しています。
従って高齢者は必然的に狙われやすくなりますし、判断能力も現役世代と比較すると衰えが目立ち、住宅の悪徳リフォームなど、高齢者の認知症への不安につけ込んだ悪質なものも目立ちます。
ところで、日本人の外貨預金、投資信託、上場株式などの『リスク性資産』の保有割合は、諸外国(アメリカ、カナダ、ドイツなど)と比較して異常に低い値を示しています。
54%が現金預金なのです。
同程度の国には英国がありますが、その代わり、英国は保険・年金準備金の占める割合が高く、純粋に現金預金が多いのは圧倒的に日本です。
資産が現金以外のものであるならば、金融機関の窓口などのフィルターを通す確率が高まり、実際の資産の奪取に至るまでに専門家による気付きなどのチャンスがありますので、そうやすやすと『現金振込に応じることは難しくなるのではないか?』と思います。
「金融商品詐欺」は、架空の有価証券などを勧めて、現金を指定口座に振り込ませるものです。
自分の判断で決定した投資と、外部からの一方的な情報を鵜呑みにした投資には、決定的な違いがあります。
実際のところ、現金預金が最も安全なのかどうかに関しては諸説あります。
著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏によりますと、自分の持つ資金のうち、ある程度の割合を現金で持つこと自体は重要ですが、連邦政府の保険付き預金口座に預金しておく、あるいは、米国財務省短期証券や短期預金証書の形で持っておくのは名案だとのこと。
これは「詐欺から資産を守る」という観点から見ても、重要なのではないでしょうか。
ユニークな『キャンペーン』も展開中
60歳以上の方ならお馴染み、’86から放送された『あぶない刑事』シリーズ。
舘ひろしと柴田恭兵演じる、港警察署捜査課の刑事コンビ、鷹山敏樹と大下勇次の大活躍を描くサスペンスアクションものですが、普通のサスペンスにはないスタイリッシュさやコメディ要素など独自の要素で大人気となりました。
作品の個人金融資産保有層への人気度の高さも背景にしてか、シリーズ最後となる映画『さらば あぶない刑事』が今月30日から全国ロードショーされるのに伴い、広島県警や山梨県警などがこの映画とタイアップ。特殊詐欺被害の撲滅を呼びかけるポスターを作り、特殊詐欺への注意喚起を行っています。
(啓発ポスターを貼り付ける担当者。真ん中が詐欺防止用のものです。)
【参照】
- 平成27年上半期の特殊詐欺 認知・検挙状況等について(PDFファイル469KB・警察庁捜査第二課 生活安全企画課)
- 平成 25 年度総合調査研究 「個人資産の運用分析を通じた世界的な視野での産業金融の枠組みに係る検討」(PDFファイル451KB・野村総合研究所)
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