新年あけましておめでとうございます。今年も罵詈雑言にお付き合い頂き、「ダメな日本のあたし」というマゾ心を満足していただけると幸いです。
原油価格は下がりまくりですが、イギリスの光熱費は相変わらずお高いので、暖房をケチっている我が家の室内が あまりにも寒いので、暖を取るためにネットを巡回して炎上案件を探しておりましたら、新年早々、真夏のキャンプファイヤーに飛び込む蛾がガンガン燃え盛るような、大炎上案件を発見し、しばし興奮しております。
古市憲寿氏の「ハーフは劣化早い」発言が波紋 東大教授らも反応
炎上キングとして大有名な社会学者の古市憲寿氏が、2015年1月1日に放映されたフジテレビ系列の『ワイドナショー』に出演しておりましたが、ダブル(ハーフ)の皆さんの幼少時の写真を見ながらハーフはなんちゃらという話になり、同じ番組に出演していたウエンツ瑛士さんの目の前で「ハーフは劣化するのが早い」と発言し、ツッコミを入れられるという自体が発生し、それを見ていた暇でしょうがないネット民が反応し大炎上という案件です。
この番組は録画なので、そもそも炎上狙いのため放映されております。
古市氏は「火の玉」とか「EM菌」とか「江戸しぐさ」とか、世の中の人にとってはどうでもいいことを熱心に追求する「学者」=「頭はいいらしいいが社会的にアレなんで一般人のほうがマシ 」という立ち位置で視聴者の虚栄心を満たすというキャラなので、これを見て大喜びしている一般視聴者は多く、予想通りの動きを新年からかましてくれるという、テレビ界にとってはゴッドのような存在です。
そもそも一般の人々は、 まともな学術論文誌に掲載される査読論文(その分野の専門の学者の方々が中身を読んで精査した論文)がほとんどない人間は学者にあらず、パンピー向けのオタンチン本は学者としては業績にはカウントされず、そんなものを出したり、テレビに出ている人間は、学会のウンコや蚤扱いということは知らないので、学者というのは世間一般の人間では考えられないトンチキ発言をしてしまう劣化人類だと思い込んでいるわけですが、まあそれはおいておくとして、ワタクシはこの「ハーフは劣化」発言をみていて、大変日本的であるなあと感じたわけです。
そもそも「ハーフ」というのは大変日本的な概念です。「純日本人ではなく他の血が混ざっている人間」というのがその「一般的」な意味ですが、それは主にコーカソイドとの混血を指し、東洋系やアフリカ系、南アジア系との混血は別扱いされます。
しかし、ここで面白いのが、こういう「純何人か、そうではないか」という概念がある土地というのは、あまりないということです。
例えば欧州の場合。陸つなぎの国が多く、そもそも国境線はコロコロ変わったり、王様が「ガイジン」だったりするので、「純何人とそうではない人間」と分けるのが大変難しいわけです。
バルカン半島のようなところで、「ユーゴスラビア人」というのは消滅してしまった上に、そもそも、一体何をもってボスニア人やセルビア人とするのか。周辺地域の様々な人々と混血している人が多いので、定義しようがありません。
フランス、スペイン、イタリア、ドイツの国境周辺に行くと、その周辺の言葉と食べ物と人種がごった煮になっています。例えばイタリアのチロルの辺の人々は、「国民性」も食べ物もロジックも言葉もなんとなくドイツ語圏よりだったりする上、色々混血しているわけですが、この人達は「ハーフ」なのか、それとも何か違うのか。
イギリス人とは何か。これも難しい問題です。
なぜならイギリスは島国であっても、バイキングに侵略され、ブリトン人がやってきて、ユグノー難民も来て、旧植民地から様々な人が入ってきています。
そもそもここの王室はドイツ系だし、女王様の旦那はドイツ系のギリシャの人でありますが、この人をギリシャ人というか、ドイツ人というか、それともイギリス人というか。大変悩ましいわけです。
その息子であるチャールズ皇太子は、ドイツ系とドイツ系ギリシャ人とのハーフなのか? そして、そのまた息子であるウイリアム王子は、イングランド人とドイツ系とドイツ系ギリシャ人との「混血」であり、ハーフなのかクオーターなのか。(書いていてよくわからなくなってきました)
ロンドン市長のボリス氏は、トルコの革命戦士の子孫でありますが、この人は、トルコ系のクオーターか、何らかのハーフと呼ぶべきなのか。
欧州はそもそも「国」(ネーションステート)の概念が、ここの歴史的には大変新しかったりしますので、「国」よりも「都市」の方が重要だったりするので、さらに「純何人とそうではない人間」を分けるのが難しいのであります。
例えば、ワタクシが住んでいたイタリアでありますが、ロマーノ(ローマ人)イタリアのローマ出身だとはいいますが、俺はイタリア人だとは主張しなかったりする上、延々と南部や北の人間の悪口三昧だったりします。
中央アジア、レバノン、メキシコ、ボリビア、チリ、アルゼンチン、ロシア、マレーシア、ロシアのシベリア地方に行くと話はもっと複雑だったりします。
例えばワタクシの同級生はカザフスタンの人ですが、この人はユダヤ、コーカサス、ジョージア、カザフ、ロシアの血を受け継いでいます。お爺さんとお婆さんがソ連時代に粛清されかけて強制的に移住させられ、生まれたお母さんはカザフ人とロシア人の「ハーフ」と結婚しています。ここではこういう人達は珍しくありません。
食卓には朝鮮族が市場で売っているコリアンサラダ(キムチ)と朝鮮式海苔巻き、タジク式焼き肉、ウズベク式ピラフ、ボルシチ、ザクースカ、カザフ式ウドンが並びます。
ウオッカ片手にそれをつまむのは、ドイツ系、朝鮮系、カザフ系、中国系、ジョージア系、ロシア系、フランス系、イギリス系の親戚に近所の人、友人たちであります。強制移住させられた人の子孫、石油を掘りに来た人、銀行家、研究者、軍人などその背景は様々です。共通言語はロシア語です。
しかしカザフスタンの様な光景は決して珍しいことではなく、先進国の大都市でお金が集まるところというのは、そんな感じです。
サンフランシスコ、ニューヨーク、パリ、ベルリン、フランクフルト、ロンドン、トロント、バンクーバー、シンガポールなどは、様々な人が集い、行きかい、交じり合うので、一体何を持って「純何人とそうではない人間」と分けるのかが難しかったりします。
しかしそういうところでも、ある特定の集団の「傾向」とか「似通った部分」というのもあります。そういうものを創りだすのは、 「血」ではなく、スターウオーズを面白いと思うかどうか、共通する歴史的認識、言語、音楽、教育、しきたり、だったりします。
創造性が発揮され、富が創りだされるところは、「血」よりも、スターウオーズの面白さを共有できるかどうかが重要だったりします。
そういうところでは、「ハーフ」という概念自体が存在しません。
社会学者である古市氏には、そういうところの人達に「ハーフ」という概念と「劣化」の定義に関して講義していただくと、クールな日本の姿を世界に広めることになり、国際交流が進むと思うのですかいかがでしょうか。
日本のテレビを見ている限り、日本はあらゆる分野で世界の先端を走っているようですので、「ハーフは劣化しやすい」という「概念」を公共の電波に乗せてへっちゃらな日本は、世界の最先端を行っているのかもしれませんよ。