昨年1人当たりGDP3万ドルの達成に失敗したのは、低成長、低物価、ドル高という3つの悪材料が重なったためだ。1人当たりGDPは実質成長率とGDPデフレーター(国民経済全体の物価水準を示す指標)を合算した名目GDPを人口数で割った後、ドル建てに換算する。このため、実質成長率と物価上昇率が低く、ドル高が進むほど、1人当たりGDPは低下する。
昨年の実質成長率は政府目標の3.8%にはるかにとどかない2%台半ばにとどまり、物価上昇率も過去最低の0.7%だった。ウォン・ドル相場も当初予想の1ドル=1050-1100ウォンよりウォン安ドル高の1130ウォン台となっている。こうした悪条件は解消が難しく、今年も来年も3万ドルの達成は容易ではない見通しだ。
LG経済研究所は「低成長とウォン安からみて、今年の1人当たり国民所得は2万7200ドル程度にとどまるのではないか」と予想した。IMFは昨年10月、韓国の1人当たりGDPが3万ドルに到達する予想時期を2017年へと先延ばしした。それも3%台の成長と適正な為替レートの裏付けが必要な目標だ。現在の1人当たりGDPと人口増加率からみて、名目成長率が年平均4%程度でなければ、2年以内の3万ドル達成はできないが、内外の経済環境を考慮すると決して容易ではない。そうなれば、1人当たり国民所得3万ドルの達成を掲げる朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は任期内の公約達成が難しくなる。