柏崎刈羽の違反ケーブルで全国原発調査指示
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)などで原発の新規制基準に違反してケーブルが敷設されていた問題で、原子力規制委員会は6日の定例会合で、全国の原発に同じ問題がないか調査するよう電力各社に対して指示し、今年3月末までに報告を求めることを決めた。すでに審査に合格した九州電力川内(せんだい)原発と関西電力高浜原発3、4号機(福井県)は除くが、再稼働に向けた検査が始まっていない四国電力伊方原発3号機(愛媛県)は対象となる。規制委は審査でこの問題を把握できておらず、審査の妥当性が問われそうだ。
規制委は、最初に問題が発覚した柏崎刈羽原発に対し、国が認可した原発の運転管理方法などを定める保安規定違反と認定することも決めた。今後の審査で東電の対応の妥当性を確認する方針だ。柏崎刈羽原発は事故を起こした東電福島第1原発と同じタイプの沸騰水型原発の中では、規制委が設備面を集中的に審査しており、同型の「合格第1号」となる可能性が高いが、今回の問題で再稼働が遅れる可能性も出てきた。
原発の新規制基準では火災対策が義務化された。原子炉の緊急停止などに必要な「安全系」のケーブルは、他のケーブルと分けて設置するよう定めている。安全系ケーブルが火災で延焼し機能しなくなれば、原子炉の緊急停止や冷却ができなくなるなど、大事故を引き起こす恐れがあるためだ。ところが、柏崎刈羽原発6号機で昨年9月、中央制御室の床下で2種類のケーブルを交ぜて敷設していた問題が発覚。こうした違反が同原発1〜7号機全機で約1000本に上った。その後、他の沸騰水型原発でも次々に問題が発覚したが、規制委は東電から報告を受けるまで把握できていなかった。
川内原発1、2号機のほか、関西電力高浜原発3、4号機▽四国電力伊方原発3号機の3原発計5基がすでに審査に合格している。これらはすべて加圧水型と呼ばれる別のタイプの原発で、問題が発覚した沸騰水型とは異なる。しかし、審査合格後に問題が発覚したため、ケーブルの敷設状況は審査や現場調査でも確認できていなかった。規制委は、川内と高浜はその後の再稼働に向けた検査で確認したとしている。
ケーブルの違反敷設は、柏崎刈羽原発全号機のほか、東電福島第2原発3、4号機(福島県)▽中部電力浜岡原発4号機(静岡県)▽北陸電力志賀(しか)原発1号機(石川県)▽東北電力東通原発1号機(青森県)▽同女川原発3号機(宮城県)で見つかっている。【酒造唯】