真のフォロワー」を増やすためにできること

現在「note」にて『月刊はあちゅう』を連載中のはあちゅうさんと、SNSで話題沸騰となった漫画『フェイスブックポリス』の著者であり、年明けに「cakes」でも漫画連載を始めるかっぴーさん。同年代で、ひらがなペンネームでウェブで活躍と、共通項の多いクリエイターの二人。数だけではない「本当のフォロワー」との接触を図る二人のコミュニティマネジメント術とは。

記事を読まないフォロワーはノイズでしかない

かっぴー ツイッターのフォロワー数って、「本当のフォロワー」の数を表しているものではないと思いませんか?

はあちゅう わかります。

かっぴー ネタアカウントで1万フォロワーいっている人ってザラにいるじゃないですか。でもフォロワーが多ければファンが多いのかっていうと、決してそうではないと思っていて。

はあちゅう そうですね。ああいう人たちとは、「出口があるか、ないか」で私とは違うのかなと思っていて。

かっぴー 出口?

はあちゅう はい。単純にツイートがバズること自体がおもしろいっていう感覚の人もいると思うんですけど、その人たちはツイッタ―内で完結していて。

かっぴー ああ、そういう人よく見かけます。

はあちゅう でも私は、コンテンツで食べていきたいと言ってるので、ツイッターでは完結させないでブログやnoteといった出口を作っているんです。

かっぴー そうか、目的が違うんですね。

はあちゅう そう考えると、フォロワーを増やすにしても、記事を読んでくれないフォロワーっていうのは、私の場合は、あえて極端に言いきってしまうとノイズでしかないんですよね。

かっぴー そうなんですよね。別に応援してくれているわけでもないので。

はあちゅう 私の場合は、ツイッター上で自分をつくったりとかはしないで、割と友達とのやりとりだとか、おもしろいと思ったものを直感的にRTとかして楽しんで使うっていうのを信条にしてます。

かっぴー 僕もそう。結局キャラを作ってもバレるし、作ったキャラがウケたとしてもなんかちょっと切ないと思うので。ありのままやってフォローを外されても別に問題ない。

はあちゅう でもその一方、入り口は増やしたくないですか? 「私という存在がいて、外には出せない感情を出す場所がツイッター外にありますよ」っていうこと自体は、もっと宣伝していきたい。

かっぴー それを言うと、僕はこの前、ネタツイートをしたら2万リツイートされて、ガッとフォロワーが増えたときがあったんです。でもその後、意識的に超普通のことばっかりツイートして。

はあちゅう わざとフォロワー減らすためにですか?

かっぴー そう。案の定ちょっと下がるじゃないですか。それを「デトックス」って呼んでいたんですけど。今は「漫画」っていう入り口でたくさんの人に知ってもらうことが目的なんです。だからネタツイートで増えたフォロワーにはあんまり興味が湧かなかった。

はあちゅう 今おっしゃったことでふと思ったんですけど、noteはコンテンツじゃなくて人にファンがつくから良いなと思いました。その人の作品がnote一つで全部見られるようにできているから、ファンを囲いやすいプラットフォームなのかなって思いますね。


コミュニティリーダーはメンバーに媚びてはならない

はあちゅう かっぴーさんはツイッターやnote以外に、ツイキャスやLINE@もやっていますよね。

かっぴー ツイキャスは遊び程度。LINE@では、なんでも聞けるんですよね、あそこに来てくれる人たちには。「今回の漫画どこがおもしろかった?」とか、「わからないところあった?」とか、そういうのを結構聞いています。

はあちゅう 読者からのお便りコーナーみたいな感じですか?

かっぴー そうですね。ほとんどの人が口を揃えて「ここが良かった」って言ってくれるシーンがあったり、逆にミスリードさせているところがわかったり。そういうのをヒヤリングするためにやってるから、今200人ちょっとくらいしかいないんですけど、情報量はそれで十分なんです。

はあちゅう そういう機能って、たぶん以前は編集者がやっていたんですよね。それがあるなら、もしかしたら編集者はいらなくなる可能性がありますよね。

かっぴー はあちゅうさんはサロンとか、いろんな所で読者と触れ合ってると思うんですけど、やっぱりそういう声は参考にしているんですか?

はあちゅう 参考にしている部分と、してない部分がありますね。サロンの運営に関してもオンラインサロンメンバーに意見を聞くことはあるんですけど、人の意見ってすぐ変わるんですよ。こっちからの聞き方1つで反対の結果がかえってきたりもするし、全体数からすると、意見を言ってくれる人の数は本当に少ないので、参考にはさせて頂くけれど、振り回されないように、とは思います。

かっぴー なるほど、確かに聞き方は気をつけなきゃいけないかも。

はあちゅう サロンメンバーが思いつかなかったことを提案するのがサロンのオーナーとしてやるべきことだと思うので、PR方法とか、方針をどうしていこうとか、メンバーに聞いてみたこととかはあるんですけど。やっぱり一番見て、考えている私達が思いつかないようなアイディアを出してくれる人すごい人、っていうのはまだ出会っていません。

かっぴー 自分のサロンのことは、自分が一番わかっているんですね。

はあちゅう サロンではオーナーがぐらつくとメンバーはもっとぐらつくっていうのがわかったので、「こうした方が良いですか」って聞きすぎると、みんな優等生の回答になってしまうんだと思います。最終的に私が出したものが好きか嫌いかの判断してくれたら良いかなっていう風に思っています。

かっぴー その人達をお客様だっていう感じにしてしまうと、どんどん「俺たちの好きなようにやってくれるんだ」って思われて、オーナーの地位が下がっちゃうんでしょうね。

はあちゅう そうすると「この人たちがいなくても、サロンできちゃうんじゃないか」っていう風になってしまうので。私たちがかっちり方針を決めて提示することで、好きな人は残れば良いし、嫌いな人は離脱した方が私にとっても運営しやすいし、残る人もハッピーなんですよね。結局「私がどうしたいか」なんだと思います。

かっぴー そうか、あんまりメンバーに媚びすぎてもいけないんだ。

はあちゅう 「お金出してもらいたいので、いてください」ってこっちが頼み込むような関係って、すごく不健全だと思うんです。そういうものではないと思います。お互いに共感がある場所にしないと。


きちんと評価してくれる読者を増やすために

かっぴー やっぱりコミュニティ運営において、リーダーはちゃんとしなきゃいけないんだなあ。

はあちゅう そうですね、あんまり御用聞きになると良くないことが起こるんです。あとは、たとえば500人のコミュニティの場合、結局コメントしてくれている人っていうのは上位10人~20人なんですよ。それを500人のコミュニティの総意だと思わないほうが良くって。

かっぴー 残りの480人近くの声が大事?

はあちゅう 残りの480人っていうのは、「どういう風にしてくれるかな」ってこっちに任せてくれている人たちだと思っているんです。だからある程度こっちのやりたいようにやっても、ついて来てくれる。この人たちの存在を無視するとコミュニティが不健全になります。

かっぴー そう考えると、僕が目指しているのはコミュニティじゃないかもしれない。僕はLINE@もツイッターも、漫画を読んでくれる友だちを増やしたいだけなんですよね。もとを辿れば、小・中学校でノートに書いてた漫画を友達に回してることの延長だと思っているので、その回す先の友達を増やしたい。
 それが変な奴に回って「うぇ〜いこんな漫画くそだ~」って言われても、まるで意味ないし。ちゃんと「今日のやつ読んだ?」みたいな感じで、ワイワイ回してくれる人を増やしたいっていうのがひとつあって。

はあちゅう きちんと評価してくれる読者をつけたいんですよね。

かっぴー そうそう。「SNSポリス」で言えば、その回し読みの中に、はあちゅうさんとかイケダハヤトさんとか家入一真さんとか、そういう人たちがいたら超うれしい。SNSを分かっている人達には、特に読んで欲しい。

はあちゅう バスケ漫画書いたら、バスケ部に見てほしいって発想ですよね。

かっぴー そうです、そうです。だから話戻るんですけど、ツイッターのフォロワーをひたすら増やすことにはあまり興味がない。まあ僕の場合はまず存在を知ってもらわないと、読んでほしい人たちに届かないっていうジレンマは確かにあるんですけど。


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次回「かっぴー仕事受けすぎ、消費されちゃうのでは問題」は12/23更新予定

構成:カツセマサヒコ


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はあちゅう『月刊はあちゅう』

かっぴー『漫画「フェイスブックポリス」』


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コメント

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