ライトノベル。前身、ジュニアノベル。小説界から「小説」と認められない時代がありました。今は異様なまでに小説出版社から〈ラノベ〉が前面に押し出され、かつて自身をライトノベルのオンライン作家と思っていたわたしでさえ眉をひそめ一歩後退してしまう状態です。
10年という空白を経て帰ってきた小説界は、昔と様変わりしていました。
今、ライトノベルの定義がわかりません。ライトノベル外の小説を本屋でつまみ食いすると、表紙がまるでライトノベルなものも珍しくなく、中身の文体が(わたしが若い頃の)ライトノベルと同じなものも珍しくありません。〈ラノベ〉調が小説界に蔓延してしまったのか? 不安が心をよぎりました。
「ライトノベルは、キャラクター小説である」
調べているとそう定義されている記事を見かけます。素人が書いたものではなく、玄人の書いた記事で。腑に落ちる定義ですが、それならばもう呼び方もライトノベルでなくキャラクター小説でいい。変えたほうがわかりやすい。
ライトノベルは、もうその名をとどめておけない時代に入ったと思います。
一般小説にまで見られる〈ラノベ〉調。それを許す出版社の変化。元々は、“軽快で読みやすい文章で書かれた、小説と漫画の間の存在”がライトノベルでした。しかし一般小説がどんどんライトノベル化しているのならば、最早ライトノベルが小説となり、あえて名前を冠する必要はない。だから、キャラクター最重視で作られたものとして、今のライトノベルをキャラクター小説のくくりにする。混沌としている小説界を、一度綺麗に仕分けする。わかりやすくする。誰のために? 読者のために。
ライトノベルの名を廃する時が、来たのです。