編集委員・細沢礼輝
2015年12月9日12時46分
2020年の東京五輪前に誕生する山手線新駅の周辺で、街が変わりつつある。地元商店街は古い街並みの変化に不安を抱きつつも、地域の活性化に期待する。近くに27年にできるリニア新駅もにらみ、本社を移す企業も出始めている。
山手線新駅は20年、品川―田町間で今の線路を東に移し、品川駅の北900メートルにできる。山手線では、1971年開業の西日暮里駅以来の新駅で、30番目の駅となる。
「街と一体化させ、電車やバスは1階、歩行者は2階とする。吹き抜け広場をつくり、イベントなども行いたい」。JR東日本の冨田哲郎社長は話す。
東京都も歩みをそろえる。新駅から北西約300メートルにある都営地下鉄浅草線の泉岳寺駅での再開発構想を11月、発表した。国道15号の地下にあるホームを幅5メートルから拡大。ビル十数棟が立つ国道東側の民有地1ヘクタールを買いとり、オフィスや住宅、商業施設が入る複合ビルを24年度までに建てる。
山手線新駅開業をきっかけに、現在1日平均約19万人の乗降客がさらに増えると見込み、都都市整備局の澤井正明・公共再開発担当課長は「泉岳寺駅は山手線新駅と一体化するよう機能強化させる」と話す。
「忠臣蔵」の赤穂四十七士の墓がある泉岳寺。地元の高輪泉岳寺前商店会会長でレストランを営む石川進さん(53)は「後継者不足で店を閉める仲間も多いなか、新駅開業や再開発は大きなチャンス」と言う。
残り:1122文字/全文:1721文字
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!