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 9日午前11時20分ごろ、長崎市出島町で、70代と60代の女性2人が乗る乗用車が運河に転落した。近くにいた修学旅行の男子高校生3人が救助に向かい、女性らを運河から堰(せき)に引き揚げた。長崎県警によると、女性2人は軽傷で、命に別条はないという。

 「ガシャーン」

 修学旅行の班別行動で長崎港に臨むテラスで食事をしていた長野県飯綱町の北部高校2年、鈴木咲一朗(しょういちろう)さん(17)が大きな音がした方を向くと、車が宙に浮いているのが見えた。

 近くの運河まで様子を見に行くと、歩道から3メートルほど下の運河で車が転覆し、近くに女性2人が浮いていた。歩道の手すりにかかっていたロープ付きの浮輪を投げたが、ロープが傷んでいたためか、コンクリートに引っかかって、切れてしまった。

 「2人は顔が真っ白。このままじゃ、やばい」。そう思った鈴木さんは、友人と2人で運河の中にある堰まで降りて2人に手を伸ばし、引き揚げた。別の友人が119番通報し、女性2人は病院に運ばれた。

 鈴木さんは取材に「周りに人がほとんどいなかった。自分が行くしかないと思った」と語る。

 運河から道路をはさんで向かい側にある駐車場では、出口の料金所のバーが折れていた。長崎県警は、運転していた女性がブレーキとアクセルを踏み間違えて運河に落ちた可能性があるとみて調べている。(真野啓太)