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全自動ロボット:事故起きた時、法的責任どこ あなたに?

毎日新聞 2015年12月02日 10時36分(最終更新 12月02日 12時30分)

 ◇模擬裁判が4日、「2015国際ロボット展」で

 近い将来、車の自動運転などのロボット技術が日常生活で広く活用されるようになると見込まれる中、全自動ロボットが事故を起こした場合の法的問題を考える模擬裁判が4日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催中の「2015国際ロボット展」で開かれる。

 国は労働人口の減少などのため、製造業や医療・介護、農業、建設業など幅広い業界でロボットの導入を進め、「世界一のロボット利活用社会」を目指すとする「ロボット新戦略」をまとめた。生活支援ロボットの実用化を自治体が支援する「ロボット特区」も神奈川県など全国の自治体に広がっている。

 一方、自律的に動くロボットの事故で人が負傷した場合の責任の所在など、法律面の検討は遅れているという。模擬裁判を企画した近藤惠嗣弁護士は「現行では製造物責任を問うことくらいしかできないが、ロボットの安全性について社会的な合意が形成されていないので、民事訴訟で争っても適切な結論が出せない」と指摘する。

 模擬裁判では、災害後にがれきを撤去する自動ロボットが何らかの原因で倒れ、近くにいた作業員が下敷きになったという事故を想定。作業員側はロボットメーカーに損害賠償を請求するのに対し、メーカー側は過失がなかったと争い、現行の製造物責任法のどこに問題があるのかを浮かび上がらせる。

 近藤弁護士は「法的な責任問題が未解決だと、市場導入の障害になる。作業員側に安全教育が必要という主張や、ロボットにどこまで予防装置を求めるかなど多くの論点がありそうだ」と話す。

 国際ロボット展は日本ロボット工業会などの主催。入場料は1000円だが、ウェブサイト(http://biz.nikkan.co.jp/eve/irex/)から事前登録すれば無料。【関東晋慈】

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