かつてミュージカル映画は、歌や踊りなどの個人芸を重視しましたが、やがてストーリーが重視されるようになり、さらにシネマスコープの導入に伴い映画は大型化しました。それが花開いた60年代には、「サウンド・オブ・ミュージック」、「マイ・フェア・レディ」などの名作が誕生し、ミュージカル映画は黄金期を迎えますが、やがて超大作の商業的失敗が相次ぎ、衰退してしまいます。その後、「サタデー・ナイト・フィーバー」のように若者向けの曲を満載し、ポップス市場と結びついたジュークボックス・ミュージカル的な映画の動きはありましたが、ミュージカル映画復活には至りませんでした。
1990年代に入り、「美女と野獣」などのアニメ・ミュージカル映画が大人にも受け入れられるようになり、さらに2000年代に入って「ムーラン・ルージュ」や「シカゴ」など、実写のミュージカル映画が再び大ヒットするようになりました。これらの作品に共通するのは、従来のやり方に固執せず、プロットやテンポ、絵作り等を工夫、観客を飽きさせず、ミュージカル・ファンでなくても楽しめるようしていることです。
そんな2000年以降のミュージカル映画から、 誰でも楽しめるミュージカル映画ベスト10と、まだ観ていないが観ればベスト10入りしそうなもの、そしてそれ以前のものから20世紀のミュージカル映画20選を挙げます。
誰でも楽しめるミュージカル映画のランキング・ベスト10
- ムーラン・ルージュル
「ムーラン・ルージュ」
iTunesで観る*1 Amazonビデオで観る*2 2001年、アメリカ。バズ・ラーマン監督、ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー主演。パリのキャバレー「ムーラン・ルージュ」の華やかなショーの世界を舞台に、運命に翻弄される踊り子と若き作家のラブストーリーを描く。豪華なセット・衣装、目まぐるしい映像と、ビートルズやエルトン・ジョン、マドンナなどの有名な楽曲を主演の二人が吹き替えなしで歌うなど、従来のミュージカル映画のイメージを払拭する斬新なものとして話題になりました。 - シカゴ
「シカゴ」
iTunesで観る*3 Amazonビデオで観る*42002年、アメリカ。ミュージカルの神様と称されるブロードウェイの伝説的振付師・演出家、ボブ・フォッシーによるトニー賞受賞作「シカゴ」を映画化した作品です。ロブ・マーシャル監督、レネー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギアらの出演で、1920年代のシカゴを舞台に、スターを夢見ながらも刑務所に収容され、争いに巻き込まれる主人公の波乱と、スターダムへと上り詰める様子を、それぞれに思惑や野望を抱いた3人の男女を中心とした駆け引きや人間模様を交えながら、歌と踊りで豪華絢爛に描いています。2002年のアカデミー賞では作品賞など6部門で受賞、ミュージカル映画の衰退を打破した作品とも評価されています。
- ドリームガールズ
「ドリームガールズ」
iTunesで観る*5 Amazonビデオで観る*6 2006年、アメリカ。ビル・コンドン監督、ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、ジェニファー・ハドソンらの出演で、伝説的黒人女性グループ「スプリームス」のメンバーをモデルとして、女性コーラス・グループ「ドリームガールズ」の波乱の道のりを感動的に描いています。スプリームスのメアリー・ウィルソンの自伝「Dreamgirl: My Life As a Supreme」がベストセラーになり、ブロードウェイ・ミュージカル「ドリームガールズ」が上演され、歴史的なヒットとなったものを映画化したものです。 - ザ・マペッツ
「ザ・マペッツ」
iTunesで観る*7 Amazonビデオで観る*8 2011年、アメリカ。ジェームズ・ボビン監督、ジェイソン・シーゲル、エイミー・アダムス出演で「セサミストリート」などで知られるマペット(操り人形)とが織りなす笑いと感動がスリリングに展開します。 - ヘアスプレー
「ヘアスプレー」
iTunesで観る*9 Amazonビデオで観る*10 2007年、アメリカ。1988年のジョン・ウォーターズ監督のオリジナル同名映画を元にした2002年のミュージカル劇を、ミュージカル映画化したものです。 アダム・シャンクマン監督、ジョン・トラヴォルタ、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケンらの出演。ジョン・トラボルタが特殊メイクで巨体の女性を演じています。 - レ・ミゼラブル
「レ・ミゼラブル」
iTunesで観る*11 Amazonビデオで観る*12 2012年、イギリス。ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作として1980年代にロンドンで上演され、以後、ブロードウェイを含む世界各地でロングランされていた同名のミュージカルを映画化したものです。トム・フーパー監督で、ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、エディ・レッドメイン(リウス・ポンメルシー)ら豪華キャストを起用、圧倒的なスケールで描くミュージカル超大作です。 - 魔法にかけられて
「魔法にかけられて」
iTunesで観る*13 Amazonビデオで観る*14 2007年、アメリカ。ケヴィン・リマ監督、エイミー・アダムス主演はのディズニー映画で、現実のニューヨークに迷い込んだ異世界のお姫様が巻き起こすドタバタ劇を、2Dアニメーションと実写で描き分けています。後に、「アナと雪の女王」の「Let It Go」の歌で有名になるイディナ・メンゼルが出演しています。 - マンマ・ミーア
「マンマ・ミーア!」
iTunesで観る*15 Amazonビデオで観る*16 2008年、アメリカ・イギリス合作。 フィリダ・ロイド監督、メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、アマンダ・サイフリッドらの出演で、ミュージカル「マンマ・ミーア!」を映画化したもので、世界的に有名なスウェーデン出身のポップ音楽グループABBAの曲をベースにしています。 - RENT/レント
「RENT/レント」
Amazonビデオで観る*17 2005年、アメリカ。クリス・コロンバス監督により、同名のブロードウェイ・ミュージカルを映画化したもので、ブロードウェイの主要キャスト8名のうち6名が同じ役で出演しています。プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の甘く美麗な世界(パリ・カルチエラタン)を、現代の粗暴な喧噪の中(ニューヨーク・イーストヴィレッジ)に置き換えたもので、音楽的にはX 世代やMTV 世代のロックとの融合を狙い、プロットは少数民族、性的少数派、麻薬中毒や HIV を含む様々な若者の生き方を取り上げています。 - オペラ座の怪人
「オペラ座の怪人」
iTunesで観る*18 Amazonビデオで観る*19 2004年、アメリカ。ジョエル・シュマッカー監督、ジェラルド・バトラー、エミー・ロッサム出演で、アンドルー・ロイド・ウェバーの同名ミュージカルを映画化したものです。原作は、フランスの作家ガストン・ルルーによる同名小説です。
まだ観てないがベスト10入りしそうな作品
ウェイティング・リストにいれ、いつか観ようと虎視眈々と狙っている映画です。観ればベスト10入りしそうなものばかりです。
- ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」
- スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
- ダンサー・イン・ザ・ダーク
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
20世紀の名作ミュージカル映画20選
- 雨に歌えば
「雨に歌えば」(1952年、アメリカ)
- オズの魔法使い
「オズの魔法使い」(1939年、アメリカ)
- メリー・ポピンズ
「メリー・ポピンズ」(1964年、アメリカ)
- マイ・フェア・レディ
「マイ・フェア・レディ」(1956年、アメリカ)
- ザッツ・エンターテインメント
「ザッツ・エンターテインメント」(1974年、アメリカ)
- シェルブールの雨
「シェルブールの雨傘」(1964年、フランス)
- 美女と野獣
「美女と野獣」(1991年、アメリカ)
- キャバレー
「キャバレー」(1972年、フランス)
- バンド・ワゴン
「バンド・ワゴン」(1953年、アメリカ)
- ビクター/ビクトリア
「ビクター/ビクトリア」(1982年、アメリカ・ドイツ合作)
- 紳士は金髪がお好き
「紳士は金髪がお好き」(1953年、アメリカ)
- ブルース・ブラザーズ
「ブルース・ブラザーズ」(1980年、アメリカ)
- ウエスト・サイド物語
「ウエスト・サイド物語」(1961年、アメリカ)
- ヘアー
「ヘアー」(1979年、アメリカ)
- サウンド・オブ・ミュージック
「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年、アメリカ)
- 屋根の上のヴァイオリン弾き
「屋根の上のヴァイオリン弾き」(1971年、アメリカ)
- オール・ザット・ジャズ
「オール・ザット・ジャズ」(1979年、アメリカ)
- グリース
「グリース」(1978年、アメリカ)
- ロッキー・ホラー・ショー
「ロッキー・ホラー・ショー」(1975年、イギリス)
- サタデー・ナイト・フィーバー
「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977年、アメリカ)
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