約8兆円の年金運用損 将来の年金は大丈夫なのか検証しました。

12/01 02:01
われわれの年金に関わる、重大な発表がありました。公的年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、わずか3カ月で、過去最大となる、およそ8兆円の損失を出していたことが明らかになりました。
この巨額の損失を例えるならば、「高すぎる建設費」で問題となった新国立競技場が、およそ50個分建設できる計算となります。
われわれの将来の年金は大丈夫なのか、検証しました。

年金およそ8兆円の巨額損失。
公的年金を運用しているGPIFは、30日に会見を開き、2015年7月から9月までの3カ月間の運用損が、7兆8,900億円と、過去最大となったことを明らかにした。
GPIFは、会見で「中国の景気減速懸念や、米国の利上げタイミングの不透明感が高まったことから、大きく下落をいたしました」と述べた。
2人の子どもを持つ川畑明美さん(46)は、株の投資を行う個人投資家でもある。
国内株式中心に、GPIFと同じ、長期投資を心がけているという。
この5年間で、およそ180万円の利益が出たという。
川畑さんは「年金を今まで、ほぼ国債でやってきた日本の国が、どこまで増やせるスキルがあるのかという不安は、多少ありますね」と話した。
GPIFのこれまでの年金積立金の運用は、およそ6割を安全性の高い国内債券が占めるなど、手堅い方法がとられていた。
しかし、2014年10月に、方針を大きく転換。
国債などの国内債券を、これまでの60%から35%に縮小する一方、比較的リスクの高い国内株式と外国株式を、それぞれ25%まで拡大し、外国債券も15%に引き上げた。
ハイリスク・ハイリターンにシフトしたようにも見えるが、明治大学政治経済学部の飯田泰之准教授は「年金の財政状況が現在厳しい中で、ほとんど利益を生まない国債と、それほど大きくないリスクの中で、4〜6%ぐらいの利回りを上げられる株であれば、その株を投資対象から排除するというのは、ある意味でいうと、必ず損をする方法を選ぼうとしているに近いと思うんですね」と話した。
46歳の川畑さんは、年金財政の逼迫(ひっぱく)が叫ばれる時代に、年金を受け取るようになる世代でもある。
現時点でもらえる予定の年金は、年間およそ72万円。
川畑さんは「(年金が)減るんだったら減るって、早く発表してほしいですね。資産運用はもう、これから必須になってくるんじゃないかと思います」と話した。
今回の損益について、GPIFは「10月以降は、大きく回復基調にあることが、おわかりかと思います。長期的な観点で評価することが、重要でございます」と述べた。
GPIFが運用する年金積立金の資産は、長期的に見れば増加している。
「アベノミクス」の後押しもあり、一時、140兆円を突破した。
一方で、新興国経済の伸び悩み、パリでのテロをきっかけとした欧州の先行き不安など、この先、何があるかわからないのが、株の宿命でもある。
GPIFの運用について、塩崎厚生労働相は2014年、「運用の責任は、当然のことながら、厚生労働大臣が負うということになっています」と述べている。
消えた年金、情報漏えいなど、漠然とした不安が今なお残る年金。
飯田准教授は「『(投資での)損得というのは、必ずいつでもあるんだよ』ということを超えた不信感というのを、もたらしている面というのは、あると思うんですね。これからのGPIFの運用について、より必要になってくるのが、投資内容であったり、投資活動というものの、情報開示だと思うんです」と話した。

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